Last Updated on 2022年5月17日
このコラムでは薬剤師さんが高額求人を選ぶときに絶対に注意していただきたいポイントと、高額求人の活用例をお伝えします。
高額求人の年収/時給だけに目がいってしまってその他の条件や募集の背景を見落としてしまうと、せっかく希望通りの収入を獲得したのに、すぐに退職する事態にもなりかねません。
高年収、高時給で働くことを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
求人を出している長さ

求人検索をしているときに「いつもこの求人見かけるなぁ」と思ったことはありませんか?
ずっと募集が出ている求人は、そもそも求人への応募がない、もしくは薬剤師が定着しない(新しい薬剤師が入っては辞めて、入っては辞めての繰り返し)ことが原因で、常に募集をしている可能性があります。
この代表的な例として挙げられるのは、
・感じの悪い同僚がいて薬剤師が定着しない
・クセが強い社長がいて、すぐ人が辞める
・門前のドクターが厳し過ぎる
などが考えられます。
いくら高額求人といえども、薬局での人間関係が上手くいかないと長く働くのは難しいでしょう。
人間関係の良し悪しを見極めるのは難しいですが、ずっと募集している求人がある場合は
キャリアアドバイザーに聞いてみるのも一つの手です。
病院・薬局内の忙しさ

高額求人が出る例の一つとして、「緊急で募集しているから高い給料を払う」という例があります。
欠員補充での募集なので手厚い研修はなく、薬剤師さんに即戦力を期待する場合も少なくありません。
そこで、事前に科目、枚数、薬剤師人数、募集理由などを必ず確認しておくことをオススメします。
また「一人薬剤師」での勤務があるのかどうか、事務さんや応需先ドクターはどんな方か、ということもあわせてチェックしましょう。
「事務さんとのやりとりが難しく、そして一人薬剤師であるがゆえに誰にも相談できない」というようなお悩みを抱えて、すぐに退職してしまった薬剤師さんもいらっしゃいます。
昇給の有無

実はあまり知られていないのですが、高額求人では「昇給がないこと」が多いのも事実です。
毎年年収が上がらない代わりに、高年収を提示しているパターンです。
「初任給から高収入で、昇給がないなんて考えもしなかった」と、ミスマッチにならないためにも、入社前に昇給について必ず確認しておいてください。
月収ではなく、昇給や賞与まで含めた年収ベースで求人を見ると良いでしょう。
休み、勤務時間

住居付き、住居用意の高額求人の場合は、休みやシフトの希望を出しても全然通らず、会社の都合が優先されてしまうケースがあります。
「この日どうしても人が足りないから、休み希望出しているけど出てもらえない?」というような例です。
もちろん、企業によっては月に何度かは土日も含め、好きに休みを取得できるケースもあります。休みやシフトについても、事前に確認しておいた方が勤務後のトラブルを避けられます。
また、正社員の場合、薬局側としては「高い年収を払っているんだから、他の薬剤師よりも多くの時間しっかりと働いてもらいたい」と考えるケースも多いです。
残業が月にどれくらいあるのか、休日出勤はあるのかなど、事前の確認が必要です。
住居

高額求人は都心部よりも地方で募集がかかることが多いです。
住居付き求人の例として、マンスリーマンション、社宅などがあります。
派遣の場合は、マンスリーマンションを無料で用意してもらえることが多いです。
その際に、住まいそのものに問題があることも考えられます。
例えば、壁が多少薄かったり、勤務先へのアクセスが不便だったりという具合です。
もちろん、薬局から近くて、住みやすい住居を用意してくださる場合がほとんどですが
確認しておいてを損をすることはありません。
住環境が良くないとストレスを感じる方も多いと思うので、事前に確認してみてくださいね。
また約2週間などの短期間での高額求人の場合は、ホテルが用意される場合もあります。
「部屋も清潔で快適だったし、朝食付きでとても快適だった」と好意的なお声も多いのが、ホテル付きの高額求人の特徴です。
「地方の求人」と聞いた方の中には、「田舎に行くほど周りには何もなくて、
生活するのがなかなか厳しいんじゃ」と思ってる薬剤師さんもいらっしゃると思います。
そこに住んでいる方がいる以上、基本的な生活に不便なところに薬局があるというのはかなり稀なケースです。
たしかに「娯楽が少ない」ということはありえますが、見方を変えると「散財する場所がない」「ゆっくりした環境で過ごせる」ともいえます。
実際、短期間でお金を貯めたいという薬剤師さんからは「貯金するのには最適だ」というお声も届いています。
勤務期間

例えば、やっと見つけた時給4,000円の高額求人。その高時給は期間限定の場合があります。
時期が過ぎれば元の時給に戻ってしまう、もしくは契約自体の継続ができなくなってしまうという例です。
これは 契約社員・派遣の勤務形態の場合に、特に注意すべきポイントです。
また、正社員の場合でも、「評価によって年収が下がることはあるのか?」「どのように年収が決まるのか?」といったポイントを抑えておきましょう。
アプロにご相談いただいた薬剤師さんから話を聞くと、ここをいい加減にしてしまったために1~2年間だけは年収が高かったが、それ以降は年収が下がってしまったという話を
しばしばお聞きします。
スタート時はもちろんのこと、それがいつまで続くのか、数年後の条件はどうなるのかなどは必ず確認しておきましょう。
今回は「高額求人で見落としがちなチェックポイント」をご紹介しました。
人間関係が悪くて定着しない、忙しい店舗で人が集まらないなど、今回ご紹介したチェックポイントがすべての高額求人にあてはまるわけではありません。
入社してから「ここが盲点だった」と後悔しないためにも、ぜひ慎重に調査してみてください。
高額求人の活用例

続いて、実際に高額求人で働いている薬剤師さんの体験談をご紹介します。
都心部と地方の両方の体験談をご紹介しますのでぜひご覧ください。
活用例①:勤務薬剤師なのに年収610万円!~都心部~
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・年齢:42歳
・性別:女性
・勤務先:兵庫県西宮市
・職歴:調剤経験約 20年
・年収:610万円
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Nさんは、もともと勤務していた薬局で薬局長の補佐をしていました。
しかし、上司である薬局長は何よりも売上重視。患者様よりもお店の売上が第一です。
薬局長はもともと大学病院前の薬局で十数人も薬剤師がいる大きな薬局で勤務していました。
Nさんは薬局長の患者様を軽視する発言を毎日聞かされるのに耐えられなくなり、転職活動を始めたのです。
Nさんが選んだ薬局は、2店舗を行き来するような勤務形態でした。
もちろん両店舗ともに自宅から無理なく通える範囲の薬局です。
前の職場で薬局長の補佐として仕事をしてきた経験と、1店舗固定での勤務ではなく、フレキシブルに対応できる、という点が評価されて、勤務薬剤師ですが年収610万円で転職されました。
後日、Nさんからお話を伺うと、以前のように薬局長の発言にイライラすることもなくなって仕事に集中できる、とのこと。
現在も順調に勤務されています。
「最初は2つの店舗をかけもちで勤務することが不安でしたが、問題なくやれています。在宅にも興味があるので、注力していきたいと考えていて、自分主導で在宅に積極的に関わっていきたいです」と、Nさんはお話ししていました。
活用例 ②:新規薬局の立上げに参加して年収700万円!~地方~
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・年齢:35歳
・性別:男性
・勤務先:長崎県大村市
・職歴:調剤経験約 11年
・年収:700万円+住宅補助60万円
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Kさんは将来独立したい、という目標を持っていました。
そこで、自分が薬局を開業するために、新規薬局の立ち上げを経験したいと考えており、転職のためにアプロにご登録いただきました。
Kさんの意向を聞いたアプロのキャリアアドバイザーは新規開局の求人をご紹介しました。
その求人は普通とは違い、新規開局に関わる多くの業務を経験できる求人だったのです。
社長に同行してドクターとの折衝をしたり、採用薬を決めたり、調剤室のレイアウトを考えたり、事務の採用面談をしたり。
新規開局のあらゆる業務に関わりました。
「普通の薬剤師では、絶対にできない経験ができました。将来自分が独立する上で、役に立つ経験ができました」と、Kさんはおっしゃっていました。
活用例 ③:地方に行かなくても時給3,500円!~都市部~
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・年齢:29歳
・性別:女性
・勤務先:埼玉県
・職歴:調剤経験 約7年
・時給:3,500円(住居付き)
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Sさんには薬剤師のお仕事以外にもやりたいことがあり、そのために勉強をしたいと思っていました。
勉強のためにお金がかかるため、高時給の案件を探していたのです。
しかし、いくら時給が高くても、家族も友人もいない地方には行きたくないということで、一都三県で高時給の求人をご希望でした。
そこで、担当キャリアアドバイザーは、時給3,500円の埼玉県の薬局(しかも住居付き)をSさんにご紹介しました。
埼玉県で住居付きの案件が出るのはとてもめずらしく、希少な案件です。
Sさんは、首都圏内で、こんな良い条件で働けるなんて!と驚いていました。
「夜23時までの勤務」「土日勤務(平日に週休二日)」という条件の契約で時給は3,500円、しかも住居付きという貴重な求人でした。
Sさんは帰りが遅くなることは全く構わなかったので、この薬局で勤務することを決めました。
処方箋は1日150枚前後。
2~4名体制で、開局時間は9時~23時。
夜は比較的空いています。
Sさんは、高額時給、都心から近い、忙しすぎない、という希望の条件で勤務をスタートすることができました。
「夜遅くても、19時を過ぎてからはお客様は少ないので、思ったよりもゆったりと仕事ができ、ストレスは少なかったです」とSさんはおっしゃっていました。
活用例④:両親の介護のため実家近くで時給4,500円!
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・年齢:56歳
・性別:女性
・勤務先:秋田県三種町
・職歴:調剤経験約 33年
・年収:時給4,500円(住居付き)
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都内在住のTさんは大学生のお子様が2人いらっしゃり、ご両親は秋田で暮らしています。
ご両親が高齢になったので、介護のために実家の近くに帰りたいと思っていました。
しかし、息子達の学費も稼がなくてはいけないという悩みもありました。
そんな中見つけたのが秋田県での時給4,500円の高額求人。
薬剤師さんが少ない秋田県でも特に薬剤師不足の三種町での求人だったので、これだけの高時給で応募が出ていました。
もちろん派遣先は一人薬剤師ではなく、普通の内科の門前薬局。
Sさんとしては、「実家の近くで時給4,500円で働けて本当によかったです。
両親の面倒も見ながら、息子の学費もしっかりと稼げたので、とても助かりました」とおっしゃっていました。
高額求人で働くために・・・

今回は高額求人の募集が出る理由とその活用例をご紹介しました。
勤務時間は18時まで、土日休み、首都圏内の自宅近くの薬局、一人薬剤師と重い科目は避けたい・・・
希望条件は上げ始めたらキリがありません。
しかし、高収入で働きたいと思ったら、これらすべてを叶えることはかなり難しいでしょう。
求人を探し始める前に、「これだけは絶対に譲れない」という条件はなにか、
逆に妥協できる点はどこか、どの程度なら妥協出来るのかなどを考えるようにすると
その後がスムーズになる可能性が高くなります。
ぜひ、実践してみてくださいね。