扶養内での「損しない」働き方とは?

赤ちゃんと遊ぶ女性の写真

「扶養の範囲内で働きたい」という薬剤師さんはたくさんいらっしゃいますが、扶養の範囲内で働くことでどのようなメリットがあるかご存じですか?
そもそも扶養内で働くとは、「給与所得から公的なお金をひかれずに働く」こと。
妻が夫の扶養に入り、社会保険に入ったり所得税を支払ったりせずに、一定金額の中で働くことを「扶養内で働く」と一般的には言います。

「扶養内という言葉は知っているけれど、どのような働き方なのかわからない」「どうすれば損をしないで働けるのか知りたい」という方向けに、扶養内での損しない働き方を徹底解説します。
薬剤師でも扶養内でパートや派遣勤務をすることは可能です。
しかし、既定の年収を超えずに働かなければいけないので、飲食や販売などの一般的なパートよりも時給が高いことがほとんどのパート薬剤師さんは、働ける時間や日数は少なくなります。
年収103万円を超えないように働こうと思った場合、1か月の収入は8.5万円に抑える必要があります。
時給2,000円のパートで働くと仮定すると、1か月の勤務時間は42.5時間。
だいたい1週間あたり10時間までなら働ける、という計算になります。

1週間10時間でも勤務可能という求人がたくさんあるわけではないため、薬剤師さんが扶養内で働くことは難しいと言われるのです。

■「損しない」ために知っておきたいこと

悩んでいる白衣の女性の写真

先ほどのシミュレーションで「年収103万円」という数字を出しましたが、これは「所得税を支払う必要がなく、配偶者控除が受けられる年収」のことです。

しかし、2018年の税制改定では、配偶者控除が受けられる年収に変更があり、103万円から150万円へとその金額が引き上げられました。
103万円~201万円までは、所得税を支払う義務が発生しますが、配偶者控除は満額受けられるようになったのです。

「とは言え103万円を越えたら所得税を払わないといけなんですよね?だったら働く時間を伸ばしてもそんなに収入は増えないのでは?」と思う方も多いかもしれません。
答えは「NO」です。
所得税は年収毎に段階的な計算となるため、そこまで大きな負担とはならないのです。

数万円収入が増えても、支払うのは数百円単位。
年収にもよりますが、扶養内で働く場合に支払う所得税は数千円程度で収まることがほとんどです。
こうした理由から、配偶者控除の適用範囲の拡大で「103万円の壁」はほとんど気にする必要がなくなりました。
扶養内で働くためにと103万円の範囲内に抑えていた人も、これまで以上に働く時間を増やすことができるようになりました。

年収150万円を越えた場合でも、いきなり控除額がゼロになるわけではありません。
段階的に控除額が少なくなるように設定されているので、そんなに心配する必要はないでしょう。
しかし、働き方の幅が広がったことは確かですが、ただ働く時間を増やしただけでは、「思ったほど収入が増えない」ということも考えられます。
損をしない働き方をするためには、これからご紹介する三つのポイントに注意する必要があります。

①130万円の壁

チェックボックスの写真

こちらは、社会保険料の支払いが発生する年収ラインです。
夫が会社員の場合、年収130万円以下の場合は、「健康保険の被扶養者」となり社会保険料を納める必要がありません。
「働く時間を長くしたのに、多くの社会保険料を払うことになってしまい、思ったより収入が増えていない」というケースが出てくることがあるので注意が必要です。

②住民税の課税対象ラインに注意!

cautionの張り紙

忘れがちなのが住民税の課税対象ラインが100万円であるということ。
「少しでも越えたらまずいのではないか」と考える方もいらっしゃると思いますが、先ほどご紹介した住民税と同様にそこまで心配する必要はありません。
たとえば、100万円だった年収を130万円に増やすことで発生する住民税は、30万円(100万円を越えた分)×10%=3万円に均等割りと呼ばれる4,000円を加算した34,000円です。
この34,000円は年間で支払う金額です。
住民税は10回払いですので、1回あたりの支払は3,400円程度になります。
※100万円を越えた年収にに掛けるパーセンテージや、均等割りの値段は自治体によって異なります。

社会保険料の支払いが新たに発生することや、配偶者控除の適用範囲から外れることなどと比較すると金額面での大きな心配はないでしょう。
しかし、見落としがちな点なので注意が必要です。

③夫の勤務先で家族手当があるのかを確認

錠剤と虫眼鏡の写真

夫の勤務先で「配偶者手当」の支給がある場合には注意が必要です。
所得税の支払い義務がなく、配偶者控除が満額もらえる年収の範囲が拡大し、妻が働く時間を増やし年収が上がることで、配偶者手当の支給対象から外れてしまうことがあります。

103万円を越えても所得税は微々たるもの、そう思って働く時間を少しだけ増やした結果、家族手当の支給がなくなってしまうケースもあります。
今回の制度改正により、家族手当の支給ラインも各企業によって変わってくることが予想されますがその点についてもしっかりと確認が必要です。

より詳しく知りたい方はこちら

■扶養内で「賢く」働く具体例

処方箋と薬の写真

以上の説明を踏まえて、扶養の範囲内で賢く働くにはどうすれば良いのでしょうか。
具体例をご紹介します。

①時間優先で働く

時計の写真

「平日週に2,3回は働けるけど、午前中しか働けない」というママ薬剤師さんは多いと思います。
遅い時間の人手が足りていない薬局が多いという印象がありますが、早い時間に人手を厚くしたいと思っている店舗さんもあります。
たとえば、早い時間にピークが来る薬局さん。
午前中と夕方に処方箋が集中する場合は、「午前中だけ薬剤師を1人プラスして確保したい」という調剤薬局が多くあります。
午前中だけ勤務したいと思った場合、パートとして勤務することががほとんどでしょう。

【具体事例】
保育園に通う3歳のお子さんがいるAさん。
勤務曜日:月、水
勤務時間:9:00~14:00(1日5時間/週10時間)
時給:2,000円
その他:勤務場所は家から30分、保育園のお迎えは15:00

この条件で年収計算すると、時給2000円×52週(1年)×10時間(1週)=104万円、扶養範囲内での勤務が可能です。
扶養範囲の拡大によって150万円まで働く日数を増やすことも出来ますが、社会保険料が発生する130万円の範囲内で抑える働き方がベスト、という方は多いおでしょう。
パート勤務の時給は、地域や経験年数、ブランク期間によって異なりますが1,800~2,000円程度が相場です。
パート勤務のメリットは時間通りに仕事を上がることができることです。
ママ薬剤師さんにとっては、保育園や幼稚園のお迎え時間に合わせて勤務することができるのが嬉しいポイントです。

②曜日優先で働く

薬局の看板の写真

「土曜日だけは子供の面倒を旦那に任せられる」というような薬剤師さんは、週1固定のパート勤務がおすすめ。
「週1でも決まった曜日で来てくれる人がいると、正社員の休みのシフトが組みやすくなる」
「忙しい曜日がある場合、その曜日を重点的に人材確保がしやすい」
などの理由から、調剤薬局には週1回からでも固定で勤務できる薬剤師さんが必要です。
特に「土曜日の人材確保に悩む」調剤薬局は多く、旦那さんの休みが土曜日という方とニーズが合致するケースも多いようです。

【具体事例】
2人のお子様がいるBさん
現在は土曜日のみの勤務。
勤務曜日:土曜日
勤務時間:9:00~18:00(1日8時間)
時給:2,500円
その他:勤務場所は家から45分程度

この条件を年収で計算すると、時給2500円×52週×1日8時間=年収104万円。
扶養内で働くことができます。
時給は地域、経験年数、ブランク時期によって異なりますが、派遣勤務の相場は2,500円程度。
パート勤務の場合は1,800~2,000円が相場となります。
ただし勤務場所に関しては希望のエリアを選ぶことが出来ます。
派遣、パートともに曜日を固定して働くことは可能です。

③スポット勤務(単発派遣)

座っている女性薬剤師の写真

特に繁忙期である冬~春にかけては、患者さんをなるべく待たせないように、ピーク時だけでも人手を増やしたいというのが薬局側の本音。
また、繁忙期は自社雇用の正社員やパートの休みを確保するために、単発派遣の求人が出ることが多くなる時期でもあります。
パートと比較すると時給は高いことが多いですし、1日だけの勤務でも受け入れてくれる薬局があることも単発派遣のメリットです。
ただ、19年10月時点では、例年よりもかなり単発求人が少なくなっています。
単発派遣を希望していても、求人がなくて働けないということも考えられます。
「月にいくら稼ぎたい」と決めている方は、シフト通りに働けるパートの方が向いているでしょう。

【具体事例】
小学5年生のお子様を持つCさん。
お子様の春休み、夏休み、冬休みの時期以外に、
月金で派遣勤務をしています。
勤務曜日:月金(2、5、6、9、10、11月だけ)
勤務時間:9:00~18:00(1日8時間)
時給2,500円
その他:勤務時間は家から40分

上記条件で年収を計算すると、
時給2,500円×24週(6ヶ月)×16時間(1週)=96万円、
扶養内で働くことが出来ます。先のケースと同様、
派遣勤務の時給は2,500円が相場です。
ただし緊急度が高い求人の場合、時給3,000円以上の求人も存在します。
1日単位での薬局勤務は薬の配置や調剤器具を覚えて調剤を行うことは困難なので、投薬業務がメインとなります。
派遣先の薬局からも「1日単位でも来てくれるととても助かる」とのお声を頂いています。
※ただしスポット派遣勤務の注意事項としては、派遣法改正に伴い、該当者のみのご案内となりますのでご留意ください。

扶養内に関してのより詳しい情報はこちらよりご覧ください。