Last Updated on 2022年1月11日

「月曜と金曜だけ」や「午前10時~午後3時」といったように、正社員よりも働く日数や時間を短くすることができるのがパート社員です。
薬剤師さんの中にはパート勤務で週20時間程度働いたり、扶養の範囲内で週1、2回だけ働いたりする方もたくさんいらっしゃいます。
このようにパートは、自分のライフスタイルに合った働き方ができることが一番のメリットです。
時間の都合がつきやすいという面では派遣と比較して考える薬剤師さんも多くいらっしゃると思います。
このコラムではパートと派遣の違いや、薬剤師さんがパート勤務をしたときにどのような働き方ができるのかを解説していきます。
目次
パート勤務と派遣勤務の違い
似ている面が多いこれらの働き方ですが、2つの明確な違いが存在しています。
それは「雇用形態」と「契約内容」です。
まずは雇用形態について説明します。
パートの場合は、雇用主と直接通う関係を結ぶ「直接雇用」です。
(ちなみに、正社員や契約社員も直接雇用の働き方です。)
勤務する薬局(企業)が雇用主となり、雇用主のもとで働きます。
一方で派遣は、派遣会社と雇用契約を結び派遣会社から薬局に派遣されるという形で働きます。
派遣会社は薬剤師と薬局の仲介役を担い、派遣で働きたい薬剤師さんから希望の勤務条件をヒアリングし、希望に叶う薬局を紹介しています。
パート勤務の場合は「〇〇薬局(株式会社△△)の社員」として働きますが、派遣の場合はそうではなく「派遣会社●●から派遣されてきた派遣社員」として薬局で勤務することになります。
つまり、派遣会社の社員として、薬局や企業で働くことになるのです。
薬剤師が「時間」を重視するのならパートでの働き方がオススメ!
正社員の場合、当たり前ですがフルタイム勤務ですし、残業をする必要があったり、例えば何か用事が出来て定休日以外に休みを取りたいというときにも、しっかりとした事前の調整・配慮が必要です。
主婦やママさんは、どうしても子育てや家事、介護を最優先にしなくてはいけない場合が多いですよね。
週に数回、短時間勤務が基本のパート社員であれば、家事育児・介護を優先しながら自分に合った働くことができます。
他にも、
・忙しい勤務先は合わないと思う。
・ブランクがある。
・研修があったほうがありがたい。
・今までのスキルを活かしたい/今後も勉強してスキルを伸ばしていきたい
・子育てがひと段落したら正社員として働くことを考えている。
これらに当てはまる薬剤師さんはパートでの働き方が合っています。
「派遣薬剤師」という働き方
さきほど挙げた5つを考えるときに、まず知っておかなければいけないことがあります。
それは派遣薬剤師の働き方や実態です。
後から詳しくお伝えしますが、派遣として働いた方がパートで働くよりも時給が高くなる傾向にあります。
その理由は、薬局側は「普段は正社員やパートなどの直接雇用の薬剤師で店舗を回して、人が足りない時のみ派遣薬剤師を雇いたい」と思っているからです。
薬局が派遣薬剤師に求めるスキル
派遣社員は、人手が足りない薬局で働くので、当然「即戦力」が求められます。
この場合の即戦力は投薬スキルのことを指します。
薬品の配置が分からない派遣社員には投薬に専念してもらい、店舗の勝手を分かっていたり店舗に慣れている正社員・パート社員に調剤業務を任せる方が効率が良いからです。
ですので派遣の求人の中には、調剤は一切行わずに投薬のみ行うという求人も多く存在しています。
このことを踏まえると、忙しい職場は合わない、ブランクがある、培ったスキルを活かして幅広い業務に関わりたいという方は、派遣という働き方が合わない可能性が高いです。
また、パート社員なら店舗で行う勉強会に参加することも可能ですが、派遣社員はそうした勉強会に参加できる機会が少なく、自助努力でやっていくしかありません。
手厚い研修によってスキルを伸ばしたり、勉強会に参加して知識を増やしたいという方にとってはパート社員の方が望ましい環境でしょう。
正社員登用の可能性
子育てで忙しい主婦さんの中には「後々正社員として働きたい」と思っている方も多いと思います。
今はパートで勤務し、働けるようになったら同じ職場で正社員として働ける正社員登用の可能性があるのもパートで働くメリットです。
転職活動をイチからしなくてもよい、慣れた職場で働くことができるなど、あなたの負担も少なくなります。
パートのデメリットとは?
スキルを活かせる、勉強できる環境がある、ブランクがあっても問題ない、正社員登用の可能性があるなどのメリットがある中で、デメリットといえば、時給等の待遇面が挙げられます。
同じ直接雇用の正社員であれば昇給、ボーナス支給、退職金制度、そのほかの福利厚生を受けることができますが、パート社員は基本的にボーナスは支給されません。
また、派遣と比べても時給が低くなりやすいというのもパート薬剤師の悩みとなることでしょう。
薬局は派遣薬剤師に対して社会保険料を支払う必要性はなく(社会保険料は派遣会社が支払うため)、浮いた分を派遣薬剤師の給与にあてることができること、人手不足で緊急で人手がほしいときに派遣薬剤師を依頼することから、派遣の方が時給が高くなりやすいのです。
このように、最も自分の時間に合わせて働きやすい雇用形態ですが、他の勤務形態の待遇にはやや及ばないのがパート社員という働き方です。しかし、交渉次第では派遣求人に近い、もしくは同じくらいの時給で働くことも可能な場合があります。
実際に、派遣の時給のままパートに切り替えた方の体験談をご紹介します。
薬剤師Mさんの体験談
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薬剤師Mさん
29歳・女性・調剤経験 5年
既婚/子どもなし/熊本県在住
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大阪の中規模薬局にて正社員として勤務してきたМさんは、結婚を機にその薬局を退職しました。
そして退職後は、扶養内にて103万円を超えないように、月に4~5日だけ単発派遣を活用して働いていました。
時給2,500円前後で単発派遣をした方が、パートよりも効率よく稼ぐことができました。そんな勤務スタイルを1年間続けていたМさんに1つの転機が訪れました。
旦那さんの実家がある熊本県に戻ることになったのです。
都市部では単発求人はたくさんありましたが、熊本県だとなかなか求人が見つかりません。(都市部以外の単発求人は激減しています)
そんな状況だったので、Mさんは「せっかくだし扶養から外れて働こうかな。時給も高いし派遣のままでいいかな。」と考えはじめ、2店舗の掛け持ちで週4日の派遣勤務をすることになりました。
しかし、もともと正社員として調剤・監査・投薬と幅広い業務に携わっていたMさんは、投薬メインの派遣の業務に少しずつ飽きてしまいました。
だんだんと「1つの店舗で地に足をつけて働きたい、今までいろいろな店舗を見てきた経験を活かしたい」と考えるようになり、パートで働きたいと思うようになりました。
しかし一般的にはパートになると時給が下がってしまうもの。
派遣で働いていた時は、時給が高く効率よく働くことができる点を魅力に感じていたMさんは、時給をできるだけ下げずにパートで働きたいと思っていました。
そこでアプロの営業担当が派遣していた薬局の社長と交渉を重ねた結果、Mさんはなんと派遣と同等の時給でパートとして勤務できるようになりました。
Mさんは「はじめは時給が高くて効率よく稼げる派遣の方がいいなと思っていました。
しかし、いざ働いてみると『投薬がメイン』の実務だったので、あまりやりがいを感じられなかったのが本音です。
今はパートとして、投薬以外のことも任され、薬局内の仕組み等の改善もしています。やらないといけないこと・考えなくてはいけないことは多いですが楽しく仕事しています」とおっしゃっていました。