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薬剤師の仕事・働き方・キャリアに関するトピックスから、最新の薬剤師求人、派遣や単発派遣に関する法律やルールまで。薬剤師の最新事情に精通したアプロ・ドットコムのスタッフが、就職・転職に役立つ記事を配信いたします。
派遣の基礎知識
2025.11.20
初めての薬剤師派遣・始める前に押さえておきたい基礎知識
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薬剤師は、正社員・パート・アルバイトだけでなく、派遣としても働くことができます。とはいえ、派遣は高時給だけど雇用や将来性が不安定だからと、尻込みしている人も多いのではないでしょうか。
しかし派遣という働き方をしっかり理解すれば、メリットが多いと感じるでしょう。特に、家庭や育児と両立しながら働きたい方にはおすすめです。
ここでは、初めて薬剤師派遣に挑戦する方のために、時給、働き方、福利厚生、メリット・デメリットだけでなく、派遣会社の選び方まで解説します。
目次
薬剤師派遣の働き方
派遣法によって派遣の働き方は細かく定められています。正社員やパート・アルバイトと違う点が多いので、しっかりと整理しておきましょう。
雇用形態―派遣会社が雇用主
派遣の場合、雇用主は登録した派遣会社です。派遣会社と雇用契約を結び、勤務先となる職場に派遣されて働きます。給与は派遣会社から支払われますが、業務に関する直接的な指示は派遣先から受けます。派遣会社の登録数に制限はないため、複数の派遣会社に登録でき、かけもちで働けます。
派遣には3種類の働き方がある
一般派遣、単発派遣、紹介予定派遣があります。それぞれ詳しく見てみましょう。
・一般派遣
登録型派遣とも呼ばれ、もっとも一般的な派遣薬剤師の働き方です。派遣会社に登録して、派遣先となる調剤薬局やドラッグストアで働きます。
数ヵ月~半年の契約を更新しながら働くケースが多く、法律により同じ職場で働けるのは最長でも3年です。人手不足の職場の求人が多い傾向で、秋から春にかけての繁忙期に求人が増えます。薬剤師免許以外、特別な資格や条件は不要です。
・単発派遣
1日単位で働けるのが単発派遣です。休みの日がヒマなので有効活用したい、薬剤師のスキルをさびつかせたくない、他の職場をちょっとのぞいてみたい、収入を少し増やしたいなど、さまざまな希望がかなえられます。
ただ、誰でも働けるわけではありません。法律上、日雇派遣に該当するため、以下の条件に当てはまる人のみ働くことができます。
・60歳以上
・雇用保険の適用を受けない学生(いわゆる「昼間学生」)
・副業として従事する者(生業収入が500万円以上の方)
・主たる生計者以外の者(世帯収入が500万円以上の方)
・紹介予定派遣
最長6ヵ月間派遣として働き、派遣薬剤師、派遣先ともに合意すれば直接雇用へ切り替えられる働き方です。将来的に正社員になりたいけれど、まずは派遣として働いて様子を見てから決めたいという人におすすめです。
なお、直接雇用が正社員とは限らず、パートや契約社員のこともあります。紹介予定派遣を選ぶ際は、直接雇用がどの雇用形態なのかを必ず確認しておきましょう。
事務等の派遣では無期雇用派遣もありますが、薬剤師派遣では扱っている派遣会社が極めて少ないのが現状です。無期雇用派遣とは、派遣会社と期間に定めのない雇用契約を結び、派遣会社のスタッフとして派遣先で働きます。常用型派遣、正社員派遣と呼ばれることもあります。
雇用期間―数ヵ月~半年が一般的
一般派遣では、2ヵ月~半年の契約が一般的です。契約満了後は派遣薬剤師、派遣先の双方が希望すれば契約を更新して働き続けられます。契約が更新されない場合は、次の派遣先を見つけて働きます。この職場は合わないと感じたら、数ヵ月で職場を離れられるのが派遣のメリットといえるでしょう。
一方、どれだけ希望しても同じ職場で働き続けられるのは最長3年と法律で決まっており、“3年ルール”として知られています。3年経過後は、派遣先に直接雇用してもらうか、新しい派遣先を見つけなければなりません。
雇用が不安定な派遣社員を安価な労働力として、長期間利用し続けることを防止し、雇用の安定や待遇改善を図るためのルールです。ただ、派遣は人材不足の穴埋めや繁忙期のヘルプとして求人が出されることが多いため、3年間継続して働くケースは多くありません。
なお、下記の条件に当てはまる場合は、3年ルールの対象外です。
・派遣会社と無期雇用契約を結んでいる(無期雇用派遣として働く)
・産休・育休・介護休業中の社員の代わりとして働く
・有期プロジェクトに従事する
・日数が制限された業務に従事する
・60歳以上
勤務先―調剤薬局とドラッグストアがメイン
薬剤師派遣は、調剤薬局やドラッグストアで働きます。法律により病院やクリニックなどの医療機関では、紹介予定派遣、産休・育休取得者の代わりに働く産休代替派遣以外、薬剤師派遣として働くことは認められていません。
地域によっては、へき地派遣という特例制度で病院でも派遣で働けます。詳しくは派遣会社に相談してください。
仕事内容―調剤、投薬が中心
人手不足の職場で働くことが多い派遣薬剤師は、勤務初日から即戦力として活躍することが求められます。研修もそこそこで患者様対応をするため、どの薬局でも業務に差が生じにくい調剤や投薬が中心となります。調剤薬局、ドラッグストアに分けて、仕事内容を詳しく見てみましょう。
・調剤薬局
調剤棚の薬剤の並び方は、薬効順、五十音順など薬局によって異なります。分包機や電子薬歴なども使用している機械が薬局ごとに異なるため、派遣先が変わる度に覚え直すのは大変です。慣れている正社員やパート薬剤師が調剤した方が速く、ミスが少ないため、派遣には投薬が任されることが多いようです。
患者様に薬の飲み方や使い方、副作用を説明する投薬は、職場が変わっても仕事内容に大きな差がでないため、即戦力として活躍できます。なお、長期契約の派遣は調剤に関わることもあります。
総合病院の門前薬局、医療モール内や駅前にある薬局では、さまざまな科の処方箋が持ち込まれます。幅広い経験を積んで知識やスキルを身につけたい人におすすめです。
一方、特定の科目のスキルを伸ばしたい、得意な科目だけ担当したい場合は、特定の医療機関に隣接し、その医療機関からの処方箋を主に受けるマンツーマン薬局を選ぶといいでしょう。
在宅医療を受けている患者様のご自宅や施設に薬を届ける在宅専門の調剤薬局では、正社員やパート薬剤師が在宅訪問するため、派遣は一包化や錠剤の粉砕などの調剤業務を行います。求人票に業務内容が記載されているので、事前に必ず確認しておきましょう。
・ドラッグストア
調剤薬局併設のドラッグストアでは、調剤薬局と同じように投薬をメインに行います。ドラッグストアでは、さらにOTC医薬品や健康食品の販売、レジ対応、品出しなども加わります。
OTC医薬品のうち、第1類医薬品の販売は登録販売者では行えず、薬剤師の対応が必要です。処方薬だけでなく、OTC医薬品の知識を深めたい人はドラッグストアで働くことを考えてみてください。
ドラッグストアは店舗数が多く、営業時間も長いため、勤務地や時間帯の希望が叶いやすい傾向です。調剤薬局より時給が高いケースが多く、マーケティングの知識が身につくのも魅力です。一方、レジ対応、品出しなど薬剤師としての業務以外の対応を求められたり、遅い時間の求人しかなかったりします。
調剤薬局、ドラッグストア、どちらで働く場合でも、基本的に調剤・投薬の経験が求められます。調剤・投薬の経験がない場合は、未経験可という求人を探しましょう。
・病院・クリニック
紹介予定派遣、産休代替派遣としてのみ、派遣として働けます。派遣の場合、正社員のような夜勤や当直はなく、残業もほぼありません。
日曜・祝日が休日というケースが多いため人気が高く、募集があったらすぐに埋まってしまいます。病院・クリニックで働きたいなら、正社員、パート・アルバイトの求人を探してみましょう。
福利厚生、社会保険への加入は条件を満たせばOK
派遣薬剤師には福利厚生がないと誤解されがちですが、派遣でも福利厚生は受けられます。ただ、派遣は派遣会社と雇用契約を結んでいるため、派遣会社の制度が適用されます。
最近は資格取得支援やeラーニングの受講、ジムやレジャー施設の割引など、派遣会社の福利厚生も充実してきています。詳細は派遣会社によって異なるので、登録前に確認しておきましょう。
健康保険、厚生年金といった社会保険、有給休暇については法律で定められているので、条件を満たせばどの派遣会社でも同じ条件で利用できます。
社会保険については、従業員50人超の企業(派遣元)で週20時間以上勤務する場合、年収が106万円を超えると、厚生年金・健康保険に加入します。企業規模に関係なく、年収が130万円を超えると厚生年金・健康保険に加入します。
有給休暇は、雇用形態に関係なく雇入れの日から6ヵ月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤していれば付与されます。派遣先が変わっても同じ派遣会社で半年以上継続して勤務していれば有給を取得できます。
産休・育休も法律に基づいて取得可能です。産休は、出産予定日の6週間前(多胎の場合は14週間前)に派遣契約中であれば取得できます。
産休の開始予定日までに契約満了となる場合、更新されないと産休の取得ができません。育休は子が1歳6か月に達する日までの間に、その労働契約の期間が満了していなければ取得可能です。
正社員との違い
大きな違いとして、正社員は働いている企業に直接雇用されていること、雇用期間に定めがないことが挙げられます。特別な事情がない限り、正社員は定年まで働き続けられるうえ、ボーナスや退職金を受け取れるケースがほとんどです。
短時間勤務の正社員も登場してきていますが、1日8時間、週5日、つまりフルタイムで働くのが一般的です。将来的にマネジメント職に就くことが期待されており、異動や転勤をしながら幅広い業務を経験します。
責任が重い仕事をすることが多く、残業も多いでしょう。調剤や投薬のスキルのほか、コミュニケーション能力やリーダーシップなど、マネジメントに役立つスキルが重視されます。
パート・アルバイトとの違い
派遣同様、パート・アルバイトも非正規雇用であり、週に3日、1日5時間など、働く時間を自分で選べます。しかし、パート・アルバイトは働いている企業に直接雇用されている点が異なります。
契約期間に定めがあるかは企業によって異なりますが、一般的に長期雇用が前提となっており、気に入れば長く働き続けられます。派遣のような即戦力が求められない分、派遣よりも時給は低めです。
派遣薬剤師は高時給
厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、派遣・パート・アルバイトなどの短時間労働者の時給は2,639円でした。求人ベースでみると、パート薬剤師は時給2,000円前後、派遣薬剤師は時給3,000円前後と、派遣のほうが高時給です。
この調査によると、正社員薬剤師のボーナスを含む年収は約599万円でした。時給3,000円の派遣がフルタイムで働いた場合、月収は48万円、年収は576万円になります。勤務時間が確保できれば、正社員並みに稼げることがわかります。
ただし、派遣は時給制です。GWなどの祝日、年末年始などの休みが多い月は減収になる場合があるので注意が必要です。
派遣薬剤師が高時給の理由―即戦力が求められるから
なぜ、パート・アルバイトより派遣薬剤師の時給が高いのでしょうか。派遣は人手不足の職場で即戦力として活躍するために募集されます。求人を出して面接をしてといった手間とコストをかける余裕や事前研修をする時間もない職場で、経験者をすぐに確保するために高時給が設定されているのです。
交通費が別途支給される求人が増えてきましたが、時給に交通費が上乗せされている求人もあります。高時給に見えますが、交通費を差し引くとそこまで時給が高くないケースもあるので、時給の高さだけで仕事を選ぶのはやめましょう。
派遣で働くメリット8選
派遣で働くメリットを8つ紹介します。
1.自由な働き方ができる
派遣薬剤師は、自分の希望に合わせて時間や日数を調整できます。週3日だけ、午前中だけ、夕方から夜間だけ、土日だけなど、自分に合った働き方を選びましょう。基本的に残業もないのでワークライフバランスがとりやすくなります。
短期契約であることを利用して、子どもの幼稚園や学校がある期間だけ働き長期休暇は一緒に休む、半年働いて留学費用を貯める、次の職場が決まるまでのつなぎとして働くなど、自由な働き方ができます。結婚や育児、介護など、ライフスタイルの変化に合わせて、自分のペースで働き方を選べることは、派遣の大きなメリットといえるでしょう。
地方には、薬剤師として働きつつ、休日は観光やレジャーを楽しめる住居付きの求人もあります。憧れの地域で暮らしたい人や、UターンやIターンの下見として利用する人におすすめです。家具家電付きの住居もあるため、引っ越しの手間や費用を最小限にして、移住ができます。
2.仕事内容を選べて好条件の仕事が多い
派遣は契約書に記載された仕事だけを行います。つまり、求人に応募する段階から仕事を選べるのです。正社員やパート・アルバイトは上長からの仕事の指示を断れませんが、派遣は契約書に記載されていない仕事を依頼された場合は法律違反になるため、断れます。調剤や投薬だけを行いたい、雑務は断りたいという人は派遣のほうが向いているでしょう。
働く日数、時間帯についても契約書通りとなり、途中で変更されることは基本的にありません。好条件で働きたいなら、派遣がおすすめです。
3.派遣会社のサポートが受けられる
派遣として働いている期間に、人間関係のトラブルが起きた、契約書に記載されていない業務を依頼されたなどトラブルが発生することがあります。
直接雇用の正社員、パート・アルバイトだと、自分で上司や会社と交渉しなければなりませんが、派遣は派遣会社の担当者が代わりに交渉してくれます。悩み相談も受け付けてくれるので、初めてでも安心して働けます。
4.かけもちもOK
派遣先によってはかけもちNGのケースもありますが、複数の職場をかけもちして働くことができます。週5日働きたいのに、勤務先や仕事内容が見合った求人が見つからなかった場合、A薬局に週2日、B薬局に週3日といった働き方も可能です。
本業が休みの日に、単発派遣で働くこともできます。とはいえ、休息に充てる時間を働くことになるので、体調管理には十分に気をつけ、本業に支障をきたさないようにしましょう。なお、管理薬剤師や公務員薬剤師は副業が禁止されているため、かけもちはできません。
5.比較的時給が高い
担当する仕事はパート・アルバイトとほぼ同じですが、派遣のほうが高時給です。特に、単発派遣の時給は高く、時給3,500円や4,000円の求人も登場します。一般派遣でも、急募の度合いが高い、通勤が不便な立地、夜間や土日勤務などは、平均的な時給よりもさらに高くなり、時給換算すると正社員よりも高くなる求人もあります。
6.残業の有無を選べる
契約時に残業することを了承していない限り、残業はありません。残業してでもしっかり稼ぎたい場合は、残業有の求人を選びましょう。その際、残業代はきっちりと計算され、派遣会社から支給されるためサービス残業になることはありません。残業時間の目安は求人に記載されています。
7.ひとつの職場に縛られない
派遣の場合、だいたい数ヵ月〜数年の周期で職場が変わります。職場が変わると、担当する科目、薬剤の種類のほか、薬局のシステムやルールも変わります。短期間でさまざまな経験ができるので、薬剤師としてスキルを大きく伸ばせるでしょう。患者様の年齢も変わるため、コミュニケーション力も磨かれていきます。
人間関係も職場ごとに異なります。人数が少ない職場では、一度人間関係のトラブルが発生すると気を遣うことが多くて大変ですが、派遣なら数ヵ月だけと割り切って働けます。深刻な人間関係のトラブルに巻き込まれたり、余計なストレスを感じたりすることなく、仕事に集中できるのはメリットといえるでしょう。
8.自分で転職先を探さなくていい
正社員やパート・アルバイトに転職しようと思ったら、自分で転職先を探して応募し、書類選考・面接と進めなければなりません。面接では年収や時給、パート・アルバイトなら勤務時間の条件などを応募先とすり合わせることも必要です。
一方、派遣なら希望条件を伝えておけば、派遣会社が最適な求人をピックアップしてくれるので自分で探す手間がいりません。時給や勤務時間の調整なども、経験豊富な派遣会社の担当者が代わりに交渉してくれるので、希望が通りやすくなります。転職活動に時間や気を遣うことがないのは、大きなメリットです。
派遣で働くデメリット7選
薬剤師派遣には、メリットだけでなくデメリットもあります。
1.忙しい職場が多い
派遣は人手不足の職場や繁忙期にサポートが必要な職場へ派遣されることが多く、忙しい職場が多い傾向です。先輩たちも忙しく働いているため、十分な研修やサポートを受けることが難しいうえ、質問しにくいと感じる職場も多いようです。連続して忙しい職場に派遣されると、疲れがたまり体調を崩す恐れもあります。
求人を選ぶ際に、派遣会社の担当者に忙しさの度合いや1日に取り扱う処方箋の枚数の目安を聞いておきましょう。厚生労働省令により、薬剤師1人あたりの処方箋枚数は1日40枚までと決められているため、40枚を超える職場は忙しい可能性が高く注意が必要です。
2.新しい環境への対応力が必要
派遣は派遣先が変わるたびに新しい職場での業務を覚えなければなりません。科目が変われば扱う薬剤も変わり、服薬指導の内容も変わります。調剤、監査、投薬など基本の流れはどの職場でも同じですが、細かいルールは職場ごとに違います。
また、人間関係もイチから築き上げる必要があります。新しい環境に飛び込むことを楽しめる人、初めての人と即座に良好なコミュニケーションが取れる人は、派遣として活躍できるでしょう。一方、調剤・投薬の経験が浅い人、新しい環境に対応するのに時間がかかる人は、派遣以外を選んだ方がいいでしょう。
3.派遣薬剤師への風当たりが強い可能性がある
派遣薬剤師が働きやすい職場のほうが多いのですが、適切な情報共有や業務上のサポートが行われないなど、派遣薬剤師への風当たりが強い職場も存在します。このような職場ではストレスが溜まるうえ、仕事の質や効率が低下します。
求人を選ぶ際には、派遣会社の担当者に職場の雰囲気を確認しておきましょう。派遣薬剤師が多く働いている、受け入れ実績が多い職場は、派遣薬剤師が働きやすい職場の可能性が高い傾向です。
4.気に入った職場でも働き続けることができない
仕事内容が面白く人間関係もよいため長く働きたいと思っても、労働者派遣法により、派遣は同じ職場で3年以上働き続けることはできません。また、派遣が契約更新を希望しても、派遣先の人員不足が解消したり、派遣薬剤師のスキルが求めているレベルに達していなかったりした場合は、契約は更新されません。
5.雇用が不安定
契約が更新されない場合や満了になった場合は、次の仕事を見つける必要があります。派遣の求人は多いものの、通勤時間や勤務時間、担当科目、時給など希望条件が多くなればなるほど、次の求人を見つけるのが難しくなります。
働けない期間は無収入となるため、安定した収入を得られません。求人を選ぶ際は、絶対に譲れない条件と妥協できる条件に整理しておき、さらにそれぞれに優先順位をつけておくと、次の求人をスムーズに見つけやすくなります。派遣求人を多く扱っていて、優秀な担当者がいる派遣会社に登録することでもリスクを軽減できます。
6.派遣切りの可能性がある
派遣は人員の調整弁という側面があるため、スタッフが充足すると契約期間内でも契約終了となるケースがあります。また、コロナ禍の時のように受診率が大幅に低下して薬局の経営状況が悪化すると、雇い止めの可能性も高まります。
経営が悪化した場合、直接雇用の正社員、パート・アルバイトの雇用が優先されるため、真っ先に派遣の契約が打ち切られるのです。すぐに次の仕事を見つけられるよう、eラーニング等で学ぶなど常にスキルアップをしておきましょう。
7.マネジメント経験を積むことができない
派遣薬剤師はさまざまな職場で経験を積めるものの、その経験は調剤や服薬指導が中心です。職場全体を見渡して業務やスタッフの配置調整、シフト管理や売上管理、新人教育といったマネジメント業務に携わることはありません。
派遣のまま、管理薬剤師やエリアマネージャーなどの管理職へのキャリアアップは難しいでしょう。また、患者様と長期に渡り信頼関係を築く必要がある在宅業務やかかりつけ薬剤師も、期間限定で働く派遣では対応しづらく、経験を積めません。
将来のキャリアパスが明確になったら、働き方の変更を検討しましょう。今、キャリアパスが見えなくても問題ありません。派遣としてさまざまな職場を経験していくうちに、自分にあったキャリアパスが見えてきます。
派遣薬剤師に向いている人
働く時間や日数を自由に選べるため、家庭や育児、介護と仕事を両立したい人に向いています。派遣は高時給なので、少ない時間でもしっかり稼げます。
また、短期間でさまざまな職場を経験できることを活かして多様な経験を積んでスキルを高めたい人、同じ職場で働いていると飽きてしまう人、常に新しい環境で働きたい人にも派遣がおすすめです。
マネジメント職に就きたい気持ちよりも、調剤や投薬のスペシャリストになりたい気持ちが強い人も派遣がいいでしょう。
派遣薬剤師に向いていない人
同じ環境で長く働きたい、新しい環境に飛び込むのが苦手、初めての人とコミュニケーションを取るのは負担が大きいという人は派遣には向いていません。フルタイムが難しく、働き方を自由に選びたいなら、パート・アルバイトのほうがいいでしょう。
派遣では即戦力が求められるため、調剤や投薬の経験がない、またはブランクが長い人は派遣求人選びに注意が必要です。未経験可と記載のある求人や、事前研修が受けられる派遣会社を選びましょう。
将来はマネジメント職に就きたいと考えているなら、どのように派遣で経験を積んだら転職に有利になるか、派遣会社の担当者と相談しながら求人選びをしていきましょう。
押さえておきたい派遣に関する法律
派遣の働き方は法律によって守られています。法改正が行われることもあるので、定期的にニュースをチェックしておきましょう。
労働者派遣法
3年ルールなどを定めた、派遣の働き方に関する法律です。2015年の改正により、派遣スタッフの教育訓練が義務付けられ、派遣会社ごとにスキルアップのための制度が用意されました。
2020年の改正では「同一労働同一賃金」の制度が導入され、同じ業務をしているのなら正社員、派遣といった雇用形態を問わず同じ賃金が支払われるようになりました。
年金制度改正法
年収の壁といわれる扶養の条件に関する法律です。ここ数年、大きな変更が続く見込みなので、常に最新の情報をチェックしておきましょう。
労働基準法
雇用されて働く人に関する法律です。有給や産休取得に関わっています。
育児・介護休業法
育休や介護休業に関わる法律です。休業を取得しやすいよう少しずつ改正されているので、最新の情報をチェックしておきましょう。
調剤報酬
法律とは異なりますが、保険医療では調剤報酬(点数)が決められています。2年に一度更新され、薬局の経営に大きな影響を与えます。薬局によっては、調剤薬局事務が報酬計算をして薬剤師はノータッチというケースもあるかもしれませんが、重要なものなので動向を押さえておきましょう。
派遣の始め方
派遣として働く際の基本的な流れを見てみましょう。
派遣会社に登録する
派遣会社のサイトから名前や連絡先、希望条件などを登録します。無料で登録できるので、気軽に登録してみましょう。
ヒアリング
登録すると、派遣会社の担当者からメールや電話で連絡があり、ヒアリングの日時を設定します。派遣会社によって対面、電話、オンライン面談など、ヒアリングの方法はさまざまです。
ここで、勤務地や勤務時間の希望、譲れない条件、これまでのキャリアなど、働き方への希望を伝えましょう。ぼんやりとした状態でも、担当者の質問に答えていくだけで希望が明確になっていくので、安心してください。
求人の紹介
ヒアリングの内容から、派遣会社が希望に合った求人を探して紹介してくれます。時給や仕事内容だけでなく、職場の雰囲気、派遣の受け入れ実績など、気になることは全て聞いておきましょう。
各種手続き
条件に合う派遣先を見つけたら、派遣会社の担当者から雇用条件や注意事項の説明を受け、条件を丁寧に確認したうえで、派遣会社と雇用契約を結びます。多くの書類が必要になるため、抜け漏れがないよう慎重に記入しましょう。
希望すれば、派遣先との面談を行えます。事前に管理薬剤師など上司となる薬剤師の人柄を把握したい、職場の雰囲気を肌で感じたい場合は、派遣会社に相談してみましょう。
派遣スタート
派遣先企業の指示のもと、仕事がスタートします。初日は派遣会社の担当者が同行してくれることもあります。契約書に記載されていない業務を依頼された、風当たりが強いなど困ったことがあれば、派遣会社の担当者に相談してください。あなたの代わりに解決に向けて、派遣先と交渉してくれます。
人材派遣会社の選び方
派遣として快適に働けるかは、派遣会社選びも重要です。派遣会社を選ぶ際は次のポイントを意識して探してみてください。
・薬剤師専門の派遣会社か
派遣会社にはさまざまな業界の求人を扱う総合派遣会社と、特定の業界に強い専門の派遣会社があります。薬剤師派遣なら、薬剤師専門の派遣会社を選びましょう。業界の動向や薬剤師のニーズに精通しており、理想の職場に出会いやすくなります。
・求人数が豊富か
求人数が多ければ好条件が多い職場に出会いやすいうえ、契約終了後に次の仕事も見つけやすく、安定して働けます。また求人が多い派遣会社は、非公開求人という一般公開されていない魅力的な求人情報を持っていることが多い点も魅力です。
・自分が働きたい業態、エリアの求人が豊富か
求人数が多くても、自分が働きたい業態やエリアの求人が少なければ、満足のいく働き方はできません。サイトで自分の希望条件を入力してみて、求人が多くヒットすることを確認しましょう。
・時給が高いか
同じ職場であっても、派遣会社によって時給が異なります。似たような条件で求人を比較し、時給が相場よりも低くないかを確認しましょう。時給が相場よりも高い場合、人が定着しない、忙しすぎる、求められるスキルが高すぎるなどマイナスの要素が隠されていることがあります。事前に派遣会社の担当者に確認しておくと安心です。
・派遣実績が豊富か
求人数が多くても、派遣実績が少なければ理想の仕事に出会える確率が下がります。派遣実績が豊富ということは質の高い求人が多く、かつ、派遣会社の担当者がスタッフに適した求人を紹介している証拠です。
また、実績が豊富な派遣会社は、派遣先の薬局やドラッグストアとのつながりが深く、求人情報には記載されていない職場の雰囲気なども把握しているため、働いやすい職場に出会えるでしょう。
・担当者が親身になってくれるか
希望条件を伝えたのに全く違う求人を紹介してきた、連絡NGと伝えている時間帯に連絡してくる、担当者の対応が遅く、希望の求人に応募できなくなったといったことは困りますね。
また、職場でのトラブルが発生した時に親身になって話を聞いてくれる、対応してくれる派遣会社なら安心して働けます。契約終了後も、優秀な担当者がいればすぐに次の仕事を紹介してくれます。
・サポート体制が充実しているか
派遣薬剤師として働きたいけれど、ブランクが長い、即戦力になれるか自信がない人もいるでしょう。派遣会社によっては、認定薬剤師資格取得に利用できるeラーニングや研修制度、スキルアップ講座などのサポート体制を整えています。内容には差があるので、ホームページなどで確認しましょう。
・派遣会社の負担で薬剤師賠償責任保険に加入できるか
どんなに気をつけていても、ミスを完全に防ぐことはできません。薬剤師の場合、ひとつのミスが患者様の健康や命にかかわることもあります。万が一に備えて、薬剤師賠償責任保険に加入していると安心です。派遣会社の負担で薬剤師賠償責任保険に入れる派遣会社を選びましょう。
・完全独立系か、薬局などの傘下か
薬剤師専門の派遣会社には、完全独立系と大手薬局の傘下の会社があります。大手薬局の傘下の会社は、系列薬局の求人を優先して紹介する傾向にあるようです。フラットな立場で多くの求人の中から選びたいなら、完全独立系の派遣会社を選びましょう。
・単発派遣の求人を扱っているか
単発派遣の求人は、扱っている派遣会社が限られます。単発派遣で働きたい場合は、単発派遣求人を扱っていること、求人数が豊富なことを必ず確認してください。
薬剤師派遣をするなら「アプロ・ドットコム」がおすすめ
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