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薬剤師の仕事・キャリア

2025.06.03

2025年薬機法改正の全体像とポイント 薬剤師の仕事はどう変わる?

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2025年5月14日、改正薬機法が国会で可決されました。薬機法とは、医薬品などの製造・販売・広告に関する法律で、今回の改正により、薬剤師の仕事や働き方が大きく変わる可能性があります。

医薬品、医薬部外品、化粧品を安全に使用するためのルールも多く、薬剤師として働いていくうえで、押さえておく必要がある法律です。この記事では、2025年薬機法の改正の全体像とポイントをわかりやすく解説します。

法改正の主旨

ジェネリック医薬品の供給不足、海外で承認された医薬品が日本で承認されるまでに時間がかかる「ドラッグ・ラグ」の問題、ネットやIT技術の進化など、医薬品をとりまく環境や社会全体の変化により、従来の法律では対応できない課題が増えてきました。

今回は、これらの課題を解決し、より品質の良い医薬品を国民に迅速・適正に提供するために法改正が行われています。薬剤師の対物業務を効率化させ、対人業務に集中できる環境を整備すること、地域医療に携わる薬局としての機能を強化していくことも盛り込まれています。

主な変更点は次の4つです。

調剤業務の外部委託の一部解禁

これまでは、処方箋を受け付けた薬局内で調剤業務を完結させることが原則として義務付けられていました。しかし、慢性的な薬剤師不足により患者様に薬をお渡しするまでに時間がかかることが問題視されていました。

今回の法改正で、調剤業務の一部を都道府県の許可を得た薬局に委託できるようになります。時間がかかる一包化を外部委託すれば、薬剤師は服薬指導や健康相談などの対人業務に注力できます。まずは、比較的単純な散剤以外の一包化調剤などから外部委託が行われる見通しです。

外部委託により、調剤よりも投薬や服薬指導、健康相談の業務が増えることが予想され、仕事の流れ、シフト体制も変わる可能性があります。また、適切な委託先の選定、委託先と薬歴や在庫情報などの連携、委託先の安全管理など、新たな業務が増えるものと思われます。

市販薬(OTC医薬品)の販売規制の緩和

ライフスタイルの多様化によって、「薬剤師や登録販売者が店舗にいる時間帯に買いに行けない」「薬局が遠いので、近くのコンビニで市販薬を購入できるようにしてほしい」という希望が増えてきました。しかし、法改正前は第1類医薬品なら薬剤師、第2類、第3類なら登録販売者がいる店舗でしか購入できませんでした。要指導医薬品を購入する際は、原則として薬剤師が書面による説明を対面でできる環境が必要でした。

今回の法改正により、薬剤師からオンラインで服薬指導を受けるなどの一定の条件を満たせば、薬剤師や登録販売者がいない店舗でも市販薬の購入ができるようになります。たとえば夜間に発熱して薬が欲しい場合、オンライン服薬指導を受ければ、近くのコンビニで解熱剤を購入できます。また、対面での服薬指導が原則だった要指導医薬品も、オンライン服薬指導が解禁されるため、患者様の利便性は大いに高まるでしょう。

とはいえ、全ての医薬品の販売規制が緩和されるわけではありません。若者のオーバードーズ(過剰服薬や過剰摂取)を防ぐため、せき止めや風邪薬などの「乱用等のおそれのある医薬品」を20歳未満へ販売する際は、複数・大容量の販売は原則として禁止とされています。対面またはオンラインでの販売が義務付けられており、コンビニ等では購入できません。

オンラインで服薬指導する機会が増えるため、薬剤師からは「画面越しでどこまで詳しく説明できるのか」「誤解やミスを防げるのか」といった心配の声が挙がっています。服薬記録の仕方や、夜間対応など仕事のルールや働き方も変わっていくでしょう。

医薬品の品質の確保、安定供給対策

2020年以降は、「処方箋に記載されている薬の在庫が切れて患者様に提供できない」「卸に相談しても入荷してもらえない」など、後発医薬品(ジェネリック医薬品)を中心に医薬品の供給が不安定になっています。これは、後発医薬品の製造業者による不適切製造、少量多品目生産による非効率な生産構造が原因といわれています。

改正薬機法では、医薬品の品質を確保するために、製薬会社に医薬品品質保証責任者、医薬品安全管理責任者の設置を義務付けました。さらに安定供給のために、特定医薬品供給体制管理責任者の配置も必須となっています。具体的な業務や遵守事項は、厚生労働省令によって今後定められる予定です。

製薬会社に勤務する薬剤師は、仕事の流れが変わる可能性があるので、新たな法律の詳細まで確認しておく必要があります。

創薬スタートアップ支援

希少疾病用医薬品や小児用医薬品は、採算がとりにくいため国内で開発が進まないことが問題視されており、「ドラッグ・ロス」と呼ばれています。今回の法改正では創薬力を強化するため、「革新的医薬品等実用化支援基金」が創設されました。

製薬会社やバイオ関連企業に勤務する薬剤師は、基金を活用して創薬に注力できる環境が整うというメリットがあります。その一方で、申請手続きや補助金の要件を理解するなどの負担も増加しそうです。

薬剤師としての働き方に悩んだら「アプロ・ドットコム」に相談を

薬機法改正で薬剤師を取り巻く環境は、この数年で変化していく見通しです。特に、オンライン服薬指導や市販薬の販売規制緩和は、薬局の採用方針や薬剤師の働き方に大きな影響を及ぼすでしょう。

そんななかで、今後どのようなキャリアプランを描けばいいのか不安になったら、薬剤師の転職・キャリア支援や人材派遣の実績があるアプロ・ドットコムにご相談ください。

調剤薬局やドラッグストアの採用動向に精通したキャリアアドバイザーが、法改正後の変化もふまえて、それぞれの経験やスキルを活かせるキャリアと求人を提案します。「対人業務の経験を積みたい」「スキルアップできる薬局で働きたい」という方はもちろん、転職するかどうか決めていないという方も、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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