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薬剤師の仕事・キャリア
2025.01.13
都会と地方で大きく変わる薬剤師の転職&年収事情
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一般的に、「医療従事者の年収は高い」というイメージがあります。実際に、令和5年賃金構造基本統計調査での医師の平均年収は1436.5万円とあらゆる職種のなかでもトップクラス。実は医療従事者のなかで2番目に高いのが薬剤師です。超高齢者社会の到来で、さらに需要が高まっている薬剤師ですが、実際の相場や年収事情はどうなのでしょうか?
この記事では、さまざまな視点から薬剤師の年収相場や実情を紹介します。年収アップを視野に入れた転職の可能性なども紹介しますので、働き方に迷っている人、将来的な方向性がわからないという人は、ぜひ参考にしてください。
まずは、薬剤師の平均年収について見てみましょう。
目次
薬剤師の平均年収と動向
「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、薬剤師の平均年収は約578万円となっています。派遣薬剤師は時給制の場合が多く、平均時給はおよそ3,000円です。これを1日8時間、月20日勤務する場合で考えて平均年収を算出してみると、約576万円になります。
一方で、令和5年の正社員の全国平均年収は約545万円です。これだけ見ても、薬剤師の平均年収はほかの職種に比べて高いことがよくわかります。厚生労働省発表の「一般職業紹介状況(令和6年4月分)について」によると、「医師・薬剤師等」の有効求人倍率はパートを含むデータで2.12倍。全職業の平均1.26倍と比べると高く、薬剤師の需要は高いといえます。過去5年のデータを見ても薬剤師の平均年収は下がっておらず、比較的高水準を維持しています。
とはいえ、さらに職場や業態、働き方や地域など条件や状況でも薬剤師の年収は変わってきます。それぞれカテゴリー別の平均年収も見ていきましょう。
・男女別の平均年収
男女別に見てみると、男性薬剤師の平均年収は約623万円、女性薬剤師の平均年収は約543万円となっています。
男性と女性とで比べると約79.8万円と、薬剤師でも男女間の差は依然としてあります。女性薬剤師の場合は、結婚や出産、産休・育休およびその後の職場復帰、育児にともなう時短勤務など、ライフステージに合わせてどうしても働き方が変わってくることが影響しているでしょう。
ただし、女性薬剤師の平均年収は正社員の全国平均年収545万円とほぼ変わりません。また、調査結果では女性正社員の全国平均年収は441万円です。女性だけで比べても100万円程度の差があり、薬剤師の平均年収がいかに高い傾向にあるかがわかります。
・年齢別の平均年収
大学院卒の新卒平均年収が約320万円に対し、薬剤師の新卒平均年収はおよそ370万円。20歳から24歳の平均年収349.9万円、25歳から29歳の平均年収470.6万円というデータからも、薬剤師は新卒、第二新卒の時点で平均年収が高めということがわかるでしょう。最も高い平均年収は55~59歳で、723.7万円という結果でした。
男性薬剤師の場合は、働き続けてキャリアを重ねることで昇給やキャリアップにともなう年収の増加が伺えます。一方、女性薬剤師も、子育てなどが落ち着いてくる頃になると、仕事に集中できるようになってくることから年収アップも可能になってくるようです。
ただし、20代から30代に比べ、40代以降の年収上昇率はあまり高くありません。40代、50代での求人が減少してくること、また特に女性薬剤師はパートや派遣で働く人も多く、その分平均年収が下がってくることが影響していると考えられます。
薬剤師の平均年収は高い傾向にありますが、長期的には生涯賃金も考える必要があります。ある程度の年齢で転職を考えている人は、年収維持や年収アップを意識して転職先を選ぶことも大切になってきそうです。
・職場規模による年収
職場の規模による年収を見てみましょう。「令和5年賃金構造基本統計調査」によれば、10~99人規模では約632万円、100~999人規模では約 555万円、1000人以上の規模では約570万円です。
1000人以上の規模では少し年収が上がるものの、小規模の職場の年収が高いことがわかります。小規模の職場とは調剤薬局やドラッグストアなどが該当し、規模が大きい職場に該当する大手製薬会社や総合病院などが当てはまります。なお、全国で展開している大手薬局チェーンなどはエリアに関係なく賃金を統一しているところもあります。
・業態別の平均年収
業態別の公的データはありませんが、求人情報を見てみるとある程度の業態別の平均年収がわかります。
データでは、製薬会社がもっとも平均年収が高くなっています。次いで高いのがドラッグストアです。最近では薬だけでなく買い物もできるという利便性の高さから、調剤薬局併設型のドラッグストアの利用者が増えました。その結果、各企業は調剤併設型のドラッグストアを増やしており、薬剤師需要の増加が年収に反映されていると考えられます。病院や製薬会社の数は限られますが、地方でもドラッグストアは増加しています。
・都道府県別の平均年収
全国平均の578万円は、都道府県で比べると29位と中間程度です。データで見ると、秋田や鳥取などの人口減少が指摘される地域が上位に入っています。さらに東京589万円/23位、大阪607万円/11位、福岡597万円/19位と、全国のトップ5にはいわゆる主要大都市は入っていません。
他の業種では地方よりも都市部で賃金が高いのが一般的ですが、データを見てもわかるように薬剤師の場合は少し状況が異なります。
都市部には大学が集中し、薬学部を有する大学も多くあります。薬学部が6年制になったことを受けて薬学部を新設する大学もあったことから、薬学部自体も増加しました。大学を卒業してそのまま就職する人の数も多いため、都市部は薬剤師人材が不足することはありません。むしろ、将来的には過剰供給も懸念されています。
一方で、地方には薬学部のある大学や病院などは限られます。少子高齢化が進むなか、薬剤師の需要は増加していても人材不足が深刻化しています。そのため、賃金を上げてでも人材を確保したい企業や医療施設が多く、逆転現象が起こっているのです。
薬局/病院数と薬剤師の人数のバランス
厚生労働省の「令和4年度衛生行政報告例の概況」によれば、令和4年度末の薬局数は約6.2万施設、人口10万人あたりの薬局数は49.9施設。前年度に比べて0.9%、584施設の増加です。過去のデータを見てみて薬局の数は毎年増加傾向にあり、薬剤師の働く場所は今も増えているといえます。
平均年収ランキング1位の広島の薬局数は1,586施設(人口10万人あたりの薬局数は57.5施設)。次いで2位の宮城は1202施設(同52.7施設)、3位の秋田は526施設(同56.6施設)と、いずれも地方都市では充実しています。
一方で最下位の京都は1165施設。人口10万人あたりの薬局数は45.7施設で、全国平均を下回っています。関東圏の千葉42.0、埼玉43.0も同じく全国平均以下。東京は7065施設となっており、人口10万人あたりの薬局数は50.3施設です。
さらに厚生労働省の「令和4年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」で薬剤師の人数を見てみると、全国の薬剤師届け出数は323,690人、人口10万人に対しての薬剤師数は259.1人です。
さらに薬局・医療施設に従事する人口10万人に対する薬剤師数は202.6人。都道府県(従業地)別にみると、最も多いのが徳島の244.0 人。次いで兵庫236.6 人、東京235.7 人となっています。最も少ないのは沖縄で149.4 人です。
地方と都市部での働く環境の違い
年収アップやキャリアアップを考えるなら、地方求人にも目を向けてみましょう。ただひとくちに「地方」といっても、地域によって状況が変わります。ここからは、地方と都市部での薬剤師の働き方の違いに注目してみましょう。
・交通事情
都市部では公共交通機関が充足していますが、地域によっては公共交通機関があまり発達していないところもあり、本数も少ないのが現状です。そのために主な移動手段が車という地域も多く、ドラッグストアや薬局なども駐車場があるタイプが多くなります。
生活するには、利便性があまりよくないと感じる人もいるでしょう。ただし都市部では、平均通勤時間が1時間前後は当たり前ともいえますが、地方なら駐車場代も安く、車で10分~20分の通勤も可能です。満員電車でストレスを感じることもなく、車やバイクなどで通える職場も多いため、通勤の負担は減るでしょう。
・忙しさ
高時給・高年収の求人のなかには、業務負担があまりにも重かったり、職場環境が思わしくなかったりなどの理由で高いということもあります。ただ、地方の場合、年収・時給が高いからといって必ずしも忙しいわけではないようです。
都市部と変わらないと感じる人もいれば、地方では高年収のうえ仕事が楽になったという人もいます。最終的には職場によっても違うようですが、高年収でもあまり忙しくない職場も存在します。
このように、都市部と地方では年収以外にも環境や条件などが違ってきます。ひとついえるのは、地方への転職は高年収でゆとりのある働き方を実現できる可能性がまだまだあるということです。
では、地方への転職を考えるに際にはどんなことを考慮すればいいのでしょうか。地方で働くのにはメリット・デメリットがあるので、失敗しないために次の3つのポイントを意識してみましょう。
なるべく馴染みのある地域を選ぶ
転職すれば職場も変わり、人間関係も変わるので、ストレスを感じる人もいるでしょう。行ったことがない場所や自分には馴染みがない地域への転職ならばなおさらです。雪が多い地域なら、冬には雪かきが必要かもしれません。地域の文化や人との関わり方も違うかもしれません。まったく知らない土地に移住する場合は、仕事以外の生活環境にも慣れる必要があります。
最近ではUターン就職をする人も増えており、頼れる人や知り合いがいる地域の求人を探せばストレスも最小限にすることができます。また、経験者に相談してみたり、話を聞いてみたりすれば実際の状況もよくわかるでしょう。以前に住んだことがある地域ならある程度慣れているはずで、その地域で働くイメージもしやすいでしょう。
派遣薬剤師として短期間働く選択肢も視野に入れる
高収入など条件のいい仕事にこだわる人、いきなり地方で正社員は不安という人は、まずは短期間、派遣薬剤師として働くことも考えてみましょう。薬剤師不足が深刻な地方では、住居付きや高時給など、都市部では少ない好待遇での派遣薬剤師求人が見つかることがあります。派遣薬剤師は数ヵ月の短期間から働くこともできるので、地方で働く際のトライアルとしても良い経験になります。地方の職場環境を体験し、地域で生活することで、実際にその地域で働き続けられるかどうかの判断もしやすくなるでしょう。
転職エージェントを賢く利用する
地方で薬剤師として働くと高年収が期待でき、生活費も抑えられるというメリットがあります。ただ、高年収といってもすべての地域で年収が高いわけではありません。また都市部と比べると選択肢が限られ、希望の高年収求人を探すためには常にアンテナを張って地域の情報をリアルタイムに収集することが大切です。
そこで、ぜひ検討したいのが転職エージェントを上手に利用すること。地方に拠点があり、地域の求人も扱っている転職エージェントなら、その地域の最新の状況や求人も把握しているはずです。また、向き不向きは人によってさまざま。本当に地方で働くことがメリットになるのか、転職エージェントなら相談に乗ってもらえます。
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