生活習慣病は“サイレントキラー”「健康診断」で予防しましょう

Last Updated on 2022年7月13日

患者と会話する薬剤師の写真

はじめに

あなたは、最近「健康診断」を受けましたか?
コロナ禍で、生活習慣が乱れたり、ストレスが溜まったり、運動不足になったりと、体調への影響が懸念されています。
特に、薬剤師のような医療従事者は、精神的なストレスにさらされたり、働き方の変更を余儀なくされたり、生活習慣が乱れがちな方が多くいらっしゃることと思います。

さて、生活習慣が発症に深く関わる病気群を「生活習慣病」と言いますが、日本人の死亡者数の約6割は、この生活習慣病が原因で亡くなっています。
しばらく日本の三大死因であった「がん」「脳血管疾患」「心疾患」はすべて生活習慣病です。もっと細かくいうと、脳血管疾患や心疾患のリスク因子である「動脈硬化症」「糖尿病」「高血圧症」「高脂血症」なども生活習慣病とされています。

薬剤師のみなさまにとっては言わずもがなですが、生活習慣病を予防するには、生活習慣(運動・食事・喫煙・飲酒・ストレス・睡眠など)を見直し改善していくことが必要ですが、生活習慣を見直すきっかけとしては「健康診断を受診すること」が非常に有効です。重い病気になる前の、体の小さな異常に気が付くためには、健康診断を受けるしかありません。健康診断を受けることは、生活習慣病予防の第一歩であり、元気で健康な未来への近道となります。
今回のコラムのテーマは、「健康診断」です。気になるところだけでもぜひご覧ください。

健康診断の目的とは

健康診断には以下の2つの目的があります。
〇病気の原因となる生活習慣の問題点を発見する(一次予防)
〇病気を発見し、早期治療につなげる(二次予防)

生活習慣病は自覚症状がないことが多く、自覚症状が出てきたときには既にかなり進行してしまった状態のことも少なくありません。ですが、自覚症状はなくても、他覚的所見に異常が見つかるというのが、生活習慣病の特徴です。ここに、自覚症状もなく、自分では健康に自信があっても、健康診断を受けることの重要性があります。最低でも年に1回は健康診断を受けて、「病気になる前にリスク要因を発見すること」や「病気を早期に発見すること」が重要です。

健康診断を受ける方法

日本では、国民皆保険制度により、原則すべての国民はなんらかの公的医療保険に加入しています。医療保険は、職業や年齢などによっていろいろな種類があり、運営する保険者という主体も国や市町村、民間団体などさまざまです。そして健康診断は、医療保険の種類によって健康診断の内容や受ける場所、申込先、自己負担金等がことなります。ご自身の状況に合わせて健康診断を受診してください。

■勤務先でご自身が健康保険に加入している場合
勤務先は労働者に対して健康診断を受けさせる義務がありますので、健康保険に加入している場合は、勤務先から健康保険の案内があるはずです。それに従って受診してください。弊社の場合も毎年春にご案内しております。

■健康保険上の被扶養者になっている場合
扶養者に該当するご家族が、加入している健康保険組合の健康診断を受診できる可能性があります。ご自身が健康診断の対象者なのかどうか、対象の場合はいつ健康診断を受けることができるのか、どのような内容の健康診断なのかを、ご家族の勤務先に確認してみてください。
被扶養者の健康診断に勤務先が関与していない場合もありますので、その場合はご家族が加入している健康保険組合に確認してみてください。健康保険組合名は、健康保険証に記載されています。
もし、「40歳以上の方が健康診断の対象である」などの制限があり、健康診断の対象とならなかった場合は、お住まいの自治体にも相談をしてみてください。

■国民健康保険に加入している場合
お住まいの自治体に健康診断を受けることができるかどうか相談してみてください。自治体ホームページでも確認いただけるかと思います。一般的には年齢制限(40歳以上)があることが多いですが、自治体によっては、39歳以下であっても少ない自己負担額で健康診断を受けることができる場合があります。

健康診断の心がまえ

健診の直前だけお酒を抜いたり、ダイエットしたりする人がいますが、その場だけ取り繕うような行為は、正しい診断結果を得ることに結びつきません。普段と同じ生活をしていれば本来気が付くことができたリスクや異常に、気が付くことができなくなってしまう可能性があります。検査前も普段と同じ生活を過ごすようにしてください。

要検査や精密検査と指示があったときは、そのまま放置すると、状態がどんどん悪化して大きな病気を発症してしまう恐れがあります。健診の結果が出たらすぐに目を通し、要検査・精密検査などの指示があったときは、必ず医療機関を受診してください。

また、要検査になるほどではなくても、「軽度の異常」や「経過観察」などの表記があるときは、「異常なし」に近づくように生活習慣を見直す必要があります。
「異常なし」の場合は「ひとまず生活習慣に大きな問題はない」と考えられますが、油断せず健康的な生活習慣を維持していくようにしてください。

まとめ

健康診断の目的は、まだ自覚症状がない段階で潜在している病気を発見すること、将来生活習慣病になりやすいリスクがあるかどうかを確認し、その後の適切な対応につなげることです。健康診断で病気やリスクが発見されるかもしれない、精密検査や治療が必要となるかもしれないと考えると、健康診断が億劫になるかもしれませんが、知らないことほど怖いことはありません。多くの場合、早期発見された生活習慣病は、生活習慣の改善や適切な薬物治療により、進行を食い止めたり改善させたりすることができます。
健康診断をあなたの健康や生活習慣を見直すきっかけにして、元気で健康な未来を手に入れてください。