Last Updated on 2022年3月24日
昇給のために、自分の意見を通りやすくするために・・・
目的は薬剤師さんによって違うと思いますが、「正しい評価をしてほしい」「きちんと自分の仕事を評価してほしい」という思いはみなさんお持ちではないでしょうか。
「ちゃんと働いているのに正しく評価されていない気がする」「同じ仕事をしているはずなのに同僚の方が評価されている」
仕事中ふとした時にそう感じている薬剤師さんもいらっしゃるかもしれません。
いくら自分が仕事で成果をあげていると感じていても評価をするのは、管理薬剤師や薬局長などの上司ですよね。
第三者が自分の評価をする以上、自分が考える自分の評価と他人が考える自分の評価にある程度ズレがあるのは仕方のないことといえます。
しかし、アプロ・ドットコムが数多くの薬剤師さんのお話を聞いていてわかったことは、
・評価する人(上司)に自分の仕事を見せられていない。
・仕事の成果をアピールできていない。
・マイナスな行動が目についてしまい、適正に評価されていない。
という薬剤師さんがたくさんいらっしゃるということです。
今回は「自分の仕事を正しく評価してもらう」ための職場での行動や言動をご紹介します。
今日から実践できる簡単なものなのでぜひ最後までお読みください。
目次
正しく仕事を評価してもらうための準備

正しく評価してもらうためには
好感度を上げることが重要です。
好感度を上げることで正しい評価を得られる理由ですが、そもそも人間は良いことよりも悪いことに目が行きがちだからです。
良いことをしても思ったほど評価が得られないのに対して少し迷惑をかけてだけでまなりマイナスの印象を持たれてしまうことが多いのです。
では、好感度を上げるためには具体的には何をすれば良いのでしょうか?
一番身近なことで言うと、自分から挨拶をすることで好感度を上げることができます。
「こんな当たり前のこと?」と思う薬剤師さんもいらっしゃると思います。
自分から挨拶をすることが大事だと分かっていても意外と実践できていない薬剤師さんは多いのではないでしょうか?
出社して最初に挨拶するのはもちろんですが、薬局長、同僚、事務さん、患者さん・・・顔を合わせた一人ひとりに、挨拶をする方が効果的です。
「おはようございます。そういえば、昨日のテレビみましたか?」のように、会話の最初に挨拶を入れるだけでもOKです。
自分から挨拶をすることでまわりにどのような効果が得られるのかを試した実験をご紹介します。
アメリカのサザン・メソジスト大学のダニエル・ハワード教授のグループは、通行人にクッキーを売るための実験を行いました。
その際、通行人への話し方を以下の2パターンを試しました。
A:「今度クッキーをお売りするために、ご自宅にお伺いしてもいいですか?」
B:「おはようございます!今度クッキーをお売りするために、ご自宅にお伺いしてもいいですか?」
すると、Aの方では、約10%しか話を聞いてくれなかったのに対し、
Bのグループでは約25%の人に話を聞いてもらうことが出来ました。
さらに実験はここで終わらず、声をかけた以外の通行人(この会話を聞いていた人たち)に
どちらの店でクッキーを買いたいかと尋ねたところ、「A 挨拶なし:38%」「B 挨拶あり:62%」となり、大きな差が出来ました。
AとBの違いはたった一つ、挨拶があるかないかです。自分から挨拶をすることで好感度を上げ、さらにそのほかの周りの人の好感度も上げたのです。
あなたが働く薬局では、同僚やお客さんに挨拶をする光景を多くの人が見ています。
そして、その姿を見せることであなたの好感度が上がるのです。
毎回、同じあいさつでも大丈夫ですし、季節に応じて「最近暑いですね。」などに変えてもかまいません。
世間話をする必要はありません。
一言二言でもいいので、挨拶をするだけで、あなたの評価は必ず変わるのです。
評価を高めるための行動・言動

「同じ仕事をして同じ完成度のはずなのになぜか同僚と自分では評価が違う気がする」
これはよく聞く話です。
このように考えるということは自分のした仕事に注目できているという証拠です。
ですので、おそらくあなたの仕事の完成度は高いと思います。
しかし、上司や会社から高評価を得るためには仕事の完成度はあまり関係ありません。
会社は、仕事を完成させてもらうことは当たり前だと考えているからです。
ここで大切になるのは「仕事の報告の仕方」と「言葉遣い」です。
正しい評価を得る、仕事の報告の仕方
あなたは管理薬剤師や同僚に仕事について何か報告をするときに、どのような報告の仕方をしていますか?
忙しいから片手間に、「自分の言いたいことが伝わっていれば報告として成り立っているでしょ?」と思っている薬剤師さんは、もしかしたら無意識に自分の評価を下げる振る舞いをしてしまっているかもしれません。
別の仕事をしながら片手間に遠くにいる同僚に対して離れた場所から報告をする。
このような報告の仕方では正しく評価してもらうことは難しいでしょう。
何か報告をするときは、相手の目を見て報告をすることが大事です。
オハイオ州立大学のマイケル・ラクロッセ博士は、評価についての実験を行いました。
実験は、2人の医者にそれぞれ態度を変えて、患者さんを診察してもらうというもの。
Aの医者は、患者さんの目を見ず、患者さんの方を向かず、距離を取って診察します。
Bの医者は、患者さんの目を見て、患者さんの方を向いて、近づいて診察をしました。
その結果、Bの医者は、Aの医者の1.86倍も患者さんから好感を持たれたのです。
ちなみに、両方の医者で医者としての技術の差はありませんでした。診察も適切です。
しかし、Aの医者の診察に不信を感じた方が多かったのです。
患者さんは、目を見ない、自分の方を向かない、距離があることに何らかのやましいことがあるのではないかと感じたのです。
正しい評価を得る言葉づかい
特に後輩や部下に対して、「〇〇しておいて」「これ、やっておいて」などと命令に近いような言い方で指示を出してる場合は注意が必要です。
アメリカのアメリカ・カトリック大学のルイス・パラダイスらのグループは言葉遣いを変えた男女のカウンセラーを用意しました。
そして学生をカウンセリングしている様子のビデオを2種類作成し、320名のセミナー参加者に見せる実験を行いました。
A:「その性格変えた方がいいよ」「そのやり方はやめた方がいいよ」などの乱暴な言葉づかい。
B:「その性格は変えた方がいいと思いますよ」「そのやり方はやめた方がいいですよ」などのやさしい言葉づかい。
この2種類のカウンセリングを学生に見てもらい、それぞれどのようなイメージかを学生に答えてもらいました。
ビデオを見た参加者は、「B:やさしい言葉づかいのビデオ」に対してカウンセラーの模範例だと感じ、仕事ができるカウンセラーと評価しました。
一方、「A:乱暴な言葉使いのビデオ」のカウンセラーには、プロらしく見えない、有能に見えない、冷たい、資格があるように見えない、という低い評価をしました。
言葉遣いが乱暴になっただけで「有能に見えない」、つまり、 仕事ができないとみられてしまうという結果が出たのです。
患者さんに対してはもちろん、薬局内の後輩や部下に対しても丁寧な言葉づかいを意識しましょう。
評価されない人の3つの特徴

大前提として、仕事への意識が低い、仕事への意欲が感じられないという薬剤師は正しい評価を得ることはできません。
特に、勉強不足や知識不足は意識が足りないと思われる大きな要因です。
アプロ・ドットコムのキャリアアドバイザーが今まで数多くの薬剤師さんとお話しをした結果、勉強不足、知識不足以外にも正しく評価されない人には3つの特徴があることが分かってきました。
評価されない人の特徴①:不平や不満が多い
アメリカの心理学者のドイチェとソロモンは、次のような実験を行いました。
8人の被験者を2つのグループに分け、簡単なテストを受けさせます。
その後、実際の結果とは関係なく、人によっては「最高点だった」、「最低点だった」のどちらかの結果を告げます。
その後、再度テストを受けてもらい、あるグループには「自分は二度とも最低点だった」、別のグループには「自分は二度とも最高点だった」と思わせます。
その後、被験者全員に同じチームの別の被験者に宛てて手紙を書かせます。
しかし、その手紙はニセの手紙で、実験者が用意したものです。
その手紙の内容は、以下の4つです。
①「あなたは二度とも最高点だったので、私は満足しています。ぜひまた同じチームになりましょう。」
②「あなたは二度とも最低点でしたが、私は満足しています。ぜひまた同じチームになりましょう。」
③「あなたは二度とも最高点でしたが、私は不満です。二度と同じチームにはなりたくありません。」
④「あなたは二度とも最低点でしたので、私は不満です。二度と同じチームにはなりたくありません。」
その後、手紙を受け取った人が手紙を書いた人に対してどんな印象を持ったのか、分析しました。
その結果、①・②については、プラスの評価を抱きましたが、③・④については、評価マイナスどころか、嫌悪感すら抱く結果となりました。
つまり、不平や不満をいうことは、まわりから嫌われる上に、自分の評価を下げてしまうのです。
仕事をしていて不平不満が出てくるのは仕方のないことですし、不平不満を全く言わないということは不可能です。
しかし、誰かに不満を聞いてほしいなら、同僚がいる薬局内で言うのではなく、完全にプライベートの時に言うように心がけましょう。
評価されない人の特徴②:だらだらと仕事をする
だらだらと時間を考えずに仕事をしている人は先ほど述べた「意欲ややる気が感じられない」にも当てはまり、良い印象を持たれません。
何時までに終わらせる、今日中にここまで進めるなど目標をもたずにただ何となくだらだらと仕事をしている人は評価されません。
アメリカのパデュー大学のロジャー・ウェア博士は、「目標をきっちりと、明確に、細かくしておけばおくほど効果的」と指摘しています。
他にも、手を付ける仕事の順番を「緊急度が高く」「優先度も高い」仕事から手を付けていくことで時間の短縮が出来たり効率よく仕事を進められたりします。
もし、緊急度や優先度がわからなければ同僚や管理薬剤師に聞けば間違いを防ぐことができます。
評価されない人の特徴③:主語が「自分は」ばかり
自分の意見を話すときは、ついつい「自分は〇〇と思います」と言ってしまいがちです。
しかし、「こうした方が会社(店舗)が良くなるから自分は〇〇と思います」という言い方をするとかなり印象が違いますよね?
どちらも自分の意見を言っていることに変わりはないのですが後者の方が柔らかい言い方に聞こえますし、会社や店舗のことを考えてくれていることが伝わります。
ミスで評価はどのくらい下がる?

評価が下がるシーンはどこだと思いますかと聞かれたら、ミスしたときだと考える薬剤師さんは多いと思います。
人の命に係わる薬を扱う薬剤師さんは「ミスは絶対にしてはいけないもの」とミスしないように慎重に業務をしているのではないでしょうか。
では、万が一ミスをしてしまった場合、評価はどの程度下がってしまうのでしょうか?
実は、ミスをした後の対応次第ではあなたの評価が上がる可能性があるのです。ポイントになるのは、謝罪の有無とスピードです。
東北大学の大渕憲一教授は、次のような実験を行いました。
実験参加者は、アシスタントの指示を受けてある課題に取り組みます。
このアシスタントは 、実験のために仕込んでいるニセのアシスタントです。
実験参加者は成果を上げようとしますが、アシスタントのミスにより思うように成果が上がらず、アシスタントは実験参加者から低い評価を受けることになりました。
そして実験参加者を4つのグループに分け、アシスタントのふるまい方を下記のように変えました。
①参加者の目の前で自分のミスを謝る。
②参加者のいないところで自分のミスを謝る。
③自分のミスを謝らない。しかし、ミスしたことは参加者には分かる。
④自分のミスを謝らず、ミスも実験参加者には分からない。
この行動の後、アシスタントについて、実験参加者に再度評価してもらうと、
①と②の時、つまり参加者の前かどうかにかかわらず、アシスタントが謝罪した時に高く評価されるという結果が出ました。
さらに、この実験には続きがあります。謝罪の有無ではなく、今度は謝罪のタイミングを変えて実験を行いました。
すると参加者は、謝罪が早かったアシスタントを高く評価する傾向見られました。
ミスは誰でもしてしまうものですが、
ミスしたことを素直に認めて、すぐに謝罪することが重要だと分かります。
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