今薬剤師に必要な資格とは?キャリアアップしたい方必見

Last Updated on 2021年12月20日

勉強をする女性の写真

薬の世界は日進月歩。
「薬剤師は一生勉強」というのは皆さんもよく聞くのではないでしょうか。

新薬やジェネリック医薬品の勉強から始まり、症例や副作用の勉強、さらには服薬指導や患者さん対応の勉強・・・
「薬剤師は一生勉強」というこの言葉に表されるように、日々の勉強は欠かすことのでないものですよね。

患者さんにしっかり説明できるようにするためだけでなく、自分のキャリアアップのために勉強を頑張る方も多いのではないでしょうか。

キャリアアップしたいと思ったときに資格取得が選択肢の一つとして挙げられます。

「自分がどの資格を取るべきか分からない」
「キャリアアップにはどの資格がベストなの?」
「これからの薬剤師に求められる資格は?」

このようなお悩みを抱えている薬剤師さんの参考になればと思い、今回は「いま企業から求められている資格」をご紹介します。

アプロ・ドットコムが企業の人事担当の方に独自にインタビューした結果、企業から求められる薬剤師像や、これからの薬剤師のあるべき姿が見えてきました。

資格取得を推進するようになったきっかけは・・・

錠剤と虫眼鏡の写真

企業側が資格取得を推進したり、教育・育成に力を入れるようになったりしたのは、「とある制度」がスタートしたから、ということがアプロ独自の調査からわかりました。

「とある制度」とはかかりつけ薬剤師制度のことです。

かかりつけ薬剤師になるためには、「研修認定薬剤師を取得している」ことが必須条件です。
店舗でかかりつけ薬剤師を増やして患者さんから選ばれる薬局になるためには、研修認定薬剤師の取得を企業側が支援することが重要になります。
そのため、資格取得補助の支給を手厚くする企業も増加しています。

では、「かかりつけ薬剤師制度」について詳しく説明をしていきましょう。

◆かかりつけ薬剤師制度とは

座っている女性薬剤師の写真

すでにご存じのことと思いますが、かかりつけ薬剤師制度とは2016年度の診療報酬改定の際に新設された制度です。

患者さんがかかりつけ薬剤師を指名することで、毎回同じ薬剤師さんがその患者さんを担当します。
患者さんの情報をまとめて一元管理し、薬の効果が出ているのか、副作用が出ていないか、処方している薬の量は適当か、などを定期的に確認できるというメリットがあります。

薬局の開局時間外でも24時間いつでも処方薬について相談できる、という利点もあります。

薬局単位ではなく、指名された薬剤師個人に対して診療報酬が加算される新しい試みは大きな影響を与えました。

では、「かかりつけ薬剤師」になるにはどのような条件が必要なのでしょうか。

かかりつけ薬剤師になるには、以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。

①3年以上の薬局経験があること。
②同一の保険薬局に週32時間以上勤めていること。
③該当の薬局に半年以上勤務していること。
④医療に関する地域活動への参加があること。
⑤研修認定薬剤師を取得している。

④の具体例として、
地域ケア会議、
行政・医療・介護団体が主催している住人への研修会への参加、
薬と健康の主観、薬物乱用防止活動、
注射針の回収活動などへの参加、
休日夜間薬局としての対応、
休日夜間薬局への派遣、などが挙げられます。

それでは、実際にかかりつけ薬剤師制度は現場にどのような変化をもたらしているのでしょうか。

かかりつけ薬剤師制度スタート後の変化

患者と会話する薬剤師の写真

かかりつけ薬剤師制度スタート後、アプロ独自のアンケートを企業の人事担当の方へお願いし、60名の方から回答をいただきました。
結果を以下にまとめましたので、ぜひご覧ください。

Q1.実際にかかりつけ薬剤師制度がスタートして貴社はどのように変わりましたか?

1位:教育制度が変化した 30.0%
2位採用・人事制度が変わった 13.3%
(3位以下は割愛します。)

Q2.Q1でお答えいただいた変化について、具体的にどのような変化が起こりましたか?

・正社員は認定薬剤師の取得が必須になった。
・週32時間以上の勤務者は、当社負担での「かかりつけ薬剤師研修」を受けることになった。
・研修認定薬剤師の更新費用が薬局持ちになった。
・eラーニングの金額補助が出るようになった。
・認定薬剤師研修の単位取得のための講座費用を会社ですべて負担するようになった。
・教育部門を強化し、担当部長が新たに着任した。 
など。

Q3.現在、かかりつけ薬剤師を推進するための具体的な取り組みとして何が挙げられますか?

1位:研修認定の取得を推進 83.3%
2位:医療にかかる地域活動の取り組みに
積極的に参加するようにしている 66.7%
(3位以下は割愛します。)

これらの回答から、「かかりつけ薬剤師制度の開始で社員のスキルアップをサポートする企業が増加」したことが分かります。

企業が薬剤師に求める資格とは・・・

ノートを取る人の写真

では続いて、人事担当の方が薬剤師に求める資格をご紹介します。

先ほどのアンケートでは「社員に取得を推奨している資格はありますか?」という質問も同時に行いました。
その結果、以下のような回答が返ってきました。

圧倒的に回答数が多かったのは「認定薬剤師」という回答です。

回答の理由を聞いてみると、

・かかりつけ薬剤師の算定要件のため
・かかりつけ薬剤師を確保するため
・今後必要だと思うから
・将来さらに重要視されると思うから
・スキルアップの評価として

このような答えが返ってきました。

また、全体の25%が回答した「実務実習指導薬剤師」の資格については、
・実務実習を積極的に受け入れるため
・新卒採用を目指して実務実習の強化をしたい という回答でした。

「認知症サポーターやケアマネージャー」と答えた理由としては、
・医療と介護の境がなくなることは明確だから
・今後薬剤師に必要だと思うから
・薬局の外でも活躍できる薬剤師になってもらいたいから
・今後の薬局のあり方を見据えて といったような回答が目立ちました。

では、ここから回答が多かった、「研修認定薬剤師」と「実務実習指導薬剤師」を取得するための流れをご紹介します。

◆研修認定薬剤師

女性薬剤師が薬を渡している写真

認定薬剤師とは、研修認定薬剤師制度のもと、
倫理、基礎薬学、医療薬学、衛生薬学及び薬事関連法規・制度など、良質の薬剤師業務を遂行するために自己研鑽した成果について、一定期間内(新規4年以内、更新3年毎)に所定の単位を取得したと申請した後、認定された方のことを指します。

認定されることで他の医療従事者や患者様からの信頼を高め、常に時代に即した薬学的ケアを行えるとを示すことができます。

研修認定薬剤師になるための流れ
①研修手帳の入手
②研修受講シールを集める
③シールを研修手帳に貼付し、研修内容を記録【40単位以上】(最長4年以内、毎年5単位以上)を修得して申請
④認定手数料を振込み、研修手帳と共に研修認定薬剤師新規申請書を都道府県薬剤師研修協議会に提出する
⑤研修認定薬剤師として登録、認定薬剤師証が交付される
(以後、3年ごとに更新が必要)

研修の内容
研修の内容は、薬剤師倫理、基礎薬学、医療薬学、衛生薬学及び薬事関連法・制度及びそれらに係る実習、その他薬剤師業務を遂行するために必要なもの(実施細則で定める)。

認定対象の研修>
(1)集合研修
(2)実習研修
(3)グループ研修
(4)通信講座研修
(5)特定講座研修
(6)インターネット研修
(7)自己研修

◆実務実習指導薬剤師

薬品をピッキングする女性の写真

6年制薬学教育制度下の薬学生に対して、医療の現場における実務実習の際に指導に当たることのできる資格です。

認定要件
ワークショップ形式の研修と講習会形式の研修を受講し、すべて修了すると取得できます。

受講資格
実務経験が5年以上あること。
病院または薬局における実務経験が継続して3年以上であり、現に病院または薬局に勤務している者であること。

登録、認定証及び公表
認定実務実習指導薬剤師名簿への登録、認定証の交付、認定証を交付された者の公表(すべての認定者について、公益財団法人日本薬剤師研修センターのHPに氏名、認定番号、認定期限(年月日)及び勤務先施設名を掲載し、公表)

企業が求めるこれからの薬剤師の姿

パソコンを操作する男性の写真

かかりつけ薬剤師制度が始まったことにより、各企業が「患者さんから選ばれる薬局になる」ために様々な資格取得を支援するようになっています。

簡単に今回のアンケート結果をまとめると・・・

・かかりつけ薬剤師の要件の中で、特に研修認定の取得を推進している企業様が多く、積極的に費用や機会をサポートしている。
・90%超える企業様が「認定薬剤師」を奨励し、58%の企業様が「実務実習指導薬剤師」を推奨している。
・地域貢献や、介護との連携、在宅の強化といった目的で、専門性の高い資格取得を積極的に推進している企業が増えている。

在宅医療の担い手として薬剤師の活躍が求められていること、2019年に非薬剤師の調剤補助業務を認めると発表されたことからも分かるように、これから先、対人業務スキルが今以上に求められることはほぼ確実でしょう。

キャリアアップを目指すなら、これから医療・医薬品業界はどう変化していくのか、その中で薬剤師は何を求められるようになるのかを考えることが必須となってきます。

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