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病院・薬局トレンド
2025.11.21
薬剤師が安心な薬局で働くために…「薬局のカスハラ対策」の最新事情
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近年、小売業やサービス業を中心に、カスハラ(カスタマーハラスメント)が深刻な問題となっています。ドラッグストアや薬局も例外ではなく、薬剤師や登録販売者は日常的にカスハラのリスクにさらされるようになりました。
最近では、正社員として薬局に転職を希望する人や、派遣薬剤師として働きたい人の間で、「病院や薬局でのカスハラ対策を事前に確認しておきたい」という声が増えています。薬剤師が安心して働ける職場を選ぶために、薬局におけるカスハラの現状とその対策を知っておくことが大切です。
今回は、薬剤師が安心して働くために、薬局におけるカスハラの現状、薬局の行っているカスハラ対策、カスハラへの対処法などを紹介します。ぜひ参考にしてください。
目次
カスハラ=カスタマーハラスメントとは
カスハラ(カスタマーハラスメント)は、企業や従業員に対してお客様が理不尽な言動を行う迷惑行為のことです。セクハラやパワハラは職場内の上下関係によって行われますが、カスハラは「お客様は神様」という考え方から、消費者が優位な立場を利用して行います。
一般的なクレームではなく、「大声で怒鳴る」「土下座を要求する」「SNSで誹謗中傷する」など、暴言や暴力的な要求が含まれるのも特徴です。現時点で法令上の定義はありませんが、厚生労働省が作成した「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」では一定の基準が示されています。カスハラは従業員の心身に深刻な影響を与えるため、それが退職につながるケースもあります。
薬局でのカスハラの現状
薬局はカスハラが起こりやすい環境であり、近年その傾向が強まっています。これにはSNSの普及によってお客様の発言力が増し、企業側が圧力を受けやすくなっていることが関係していると考えられます。
身体的暴力や威圧的な言動、プライバシー侵害、ネット上での誹謗中傷などは、スタッフの健康や職場環境に悪影響を及ぼしかねません。特にネット上での中傷は拡散力が高く、個人や薬局の評判に深刻な影響を与える可能性があります。ここでは、薬局でのカスハラを2つ紹介します。
<待ち時間によるカスハラ>
調剤薬局では、待ち時間や服薬指導の場面でカスタマーハラスメントが発生しやすい傾向です。たとえば、順番待ちの際に他の患者様がいるにもかかわらず、「急げ」「早くしろ」といった圧力をかけられたり、薬剤師が薬の説明を始めると暴言を浴びせられたりするケースがあります。
患者様は体調不良の中で薬を求めて来店するため、些細なことでも不満を感じやすいうえ、「薬を受け取った後に用事がある」など時間的な制約がある場合は、怒声や威圧的な態度に出ることも。店内の混雑や調剤・確認作業に時間がかかる状況で、このような言動が起こりやすく、薬剤師やスタッフにとって大きな負担となっています。
<薬の処方に関するカスハラ>
薬の処方をする際、過剰な服薬を希望する患者様に対して薬剤師が理由を説明したところ、暴力的な発言を受けたケースもあるようです。また、「薬の用法・用量や副作用について説明を受けていない」と強い口調で否定されたり、「ジェネリック医薬品に勝手に変更された」と不満をぶつけられたりするなども報告されています。
また、SNSや口コミサイトを通じて、根拠のない悪評や誹謗中傷が拡散されるケースも多く見られます。
薬局が行っているカスハラ対策
ここからは、多くの薬局が実施し始めている対策を6つ紹介します。なお、2025年6月、カスハラ対策の強化が改正労働施策総合推進法に盛り込まれ、企業にはカスハラ対策が義務付けられました。今後、薬局のカスハラ対策はますます充実していく見通しです。
・カスハラ対応のマニュアルを作成する
厚生労働省はカスタマーハラスメント対策マニュアルを作成しているため、これを参考に対応マニュアルを整備している店舗もあります。カスハラにはさまざまなパターンがあり、それぞれの状況に応じた柔軟な対応を想定したマニュアルがあれば、スタッフも冷静に対応できます。
・店頭に注意喚起のポップを設置する
カスタマーハラスメントを未然に防ぐために、店頭に注意喚起のポップやポスターを設置しているところもあります。厚生労働省が作成したカスタマーハラスメント対策ポスターを目に入りやすい場所に掲示するのがおすすめです。
混雑時に不満が生じやすいレジ周辺にも設置すれば、レジでの迷惑行為を抑止する効果が期待できるでしょう。厚労省のポスターは多くの場所で見かけるため、目立たず見過ごされる可能性も高いので、オリジナルの注意喚起ポップを作成し、より注目を集めるのもよいでしょう。
・待ち時間や混雑状況の目安を掲示する
薬局でのカスタマーハラスメントを防ぐために、待ち時間や混雑状況に関する情報を事前に伝える工夫をしているところもあります。待ち時間の目安を掲示し、混雑状況を説明することで、患者様が状況を把握しやすくなり、不満の発生を抑えられるのがメリットです。
また、個別に声をかけて丁寧に対応することも、安心感を与えるのに有効です。最近は、来店前にオンラインで処方箋を送信できるサービスを導入している薬局も増えています。このシステムを活用している場合は事前に準備ができるため、来店時の対応がスムーズになり、待ち時間の短縮にもつながります。こうした取り組みは、スタッフの負担軽減になり、よりよい職場環境づくりにも役立ちます。
・一貫性のある説明を行い、証拠を残す
患者様とのトラブルを防ぐには、誤解や不信感を与えないよう、丁寧で一貫性のある説明が重要です。あらかじめ選択肢の有無を明確に伝えれば透明性が高まり、納得感を得やすくなります。そのため、説明の際にパンフレットや文書などを活用して情報を残しているところも。また、状況に応じて複数人で対応し、トラブルを防止しているところもあります。
・クレームが多い患者様情報を共有する
過去のクレーム情報を店舗内で共有する薬局も増えています。ポイントはクレームの内容だけでなく、頻繁にクレームを入れる患者様についても情報を共有しておくこと。スタッフ全員が状況を把握しておけば、再発防止に向けた具体的な対策を立てられます。
・SNSや口コミサイトでの誹謗中傷に適切な対応をする
SNSなどを通じたカスハラは多くの業種で問題となっており、特にネット上の誹謗中傷は拡散力が高く、迅速な対応が必要です。被害の拡大を防ぐために、投稿内容を記録・保存して証拠を残しているところもあります。また、サイト運営者に対して投稿の削除を依頼したり、必要に応じて法的措置を検討したりするなど、状況に応じて適切な対応を速やかに行うことが大切です。
薬剤師が身を守るための基本的な心がけ
・感情のコントロール
薬局でカスハラに直面した際は、感情的な対応を避け、冷静さを保つことが大切です。理不尽なクレームに感情的に反応してしまうと、状況が悪化してさらなるトラブルを招く可能性があります。
感情をコントロールし、落ち着いて対応するために、まずは深呼吸をして気持ちを落ち着かせましょう。次に、共感の言葉を使って相手の気持ちを受け止める姿勢を見せましょう。また、対応できる範囲を明確に伝え、無理な約束は避けることも大切です。
一時的に間をおき、自分自身の冷静さを取り戻す時間を確保してみてください。こうした対応を心がけることで、不要な衝突を防ぎ、より建設的なコミュニケーションを取れるようになります。
・クレーム対応の基本を意識する
クレーム対応では、対応の流れを意識することが大切です。順を追って行動すれば、相手の不満を冷静に受け止めやすくなるためです。クレームが発生したときに「傾聴」「共感」「謝罪」「説明」「解決策の提示」「感謝」のステップを踏んだ行動を心がけるだけでも、その後の状況は変化します。
カスハラの遭った際の対処法
カスハラに遭った際の対処法を知っていれば、その場で焦らずに対応できるでしょう。ここでは、適切な対処法を4つ紹介します。
・カスハラには毅然とした対応をする
勤務中にカスハラに遭遇した場合は、冷静で毅然とした態度で対応することが重要です。相手の強い言動に対して同じように感情的に返してしまうと、状況がさらに悪化する可能性があります。
例えば、暴言を繰り返す患者様に対して何度も謝罪を続けるとカスハラを正当化してしまうことになります。さらに、クレームを繰り返させてしまうケースもあるため、過剰な謝罪要求には応えないことが大切です。
・上司に相談する
過剰な暴言や謝罪要求を受けた場合、ひとりで対応しようとせず、速やかに上司へ相談しましょう。カスハラを理解していても、強い言動で迫られると冷静な判断ができなくなり、正当な指摘なのか過度なクレームなのかの判断できなくなることもあります。
要求がエスカレートし、自分だけでは対応しきれないと感じたら、上司に状況を報告して指示を仰ぐようにしましょう。「自分で解決しなければ」と抱え込まず、早めに相談することで、冷静な対応ができる環境を整い問題の早期解決につながります。
・危険度に応じて警察に相談する
カスハラの要求や暴言がエスカレートし、身の危険を感じるような状況に陥った場合は注意が必要です。無理に店舗内で解決しようとはせず、警察への相談も選択肢のひとつとして考えておきましょう。カスハラを行う人のなかには、一度きりではなく繰り返し迷惑行為を行う人や、悪質な嫌がらせを続ける人もいるためです。
薬剤師に危害が及ぶような行為が発生したり、店舗の営業に支障をきたしたりする事態になった場合は、ためらわず警察に相談することが重要です。あらかじめその可能性を念頭に置いておけば、万が一の際にも迅速に対応が可能になるでしょう。安全を守るためには、個人で抱え込まず、外部の力を借りる判断も必要です。
・転職を検討する
カスハラが発生し、上司や本社に相談しても職場環境の改善が見られない場合は、転職を検討するのもひとつの選択肢です。対策マニュアルが作成されないまま放置されたり、組織が適切な対応を取らない状況が続いたりすると、今後も同様の被害が繰り返され、精神的な負担が増す可能性があります。
カスハラへの対応は個人だけで行えるものではなく、職場全体で取り組むべき課題です。そのため、組織として積極的に対策を講じ、改善に向けて動いている職場への転職を視野に入れることで、安心して働ける環境を手に入れることができるかもしれません。自分の心身を守るためにも、職場選びは慎重に行いましょう。
転職前なら派遣会社や人材サービスに事前確認するという手も
今まで実際に薬剤師として働いている場合にカスハラに遭ったケースを紹介してきました。しかし、転職前の場合は状況が変わってきます。転職する場合、カスハラに遭う可能性をできるだけ排除しておきたいと思うのは当然です。
働き始めてからカスハラに悩まされるリスクを少しでも減らすために、気になる企業や薬局のカスハラ対策について事前に確認しておくことが大切です。その場合、おすすめなのは派遣会社や人材サービスの活用です。
派遣会社や人材サービスを利用すれば、キャリアアドバイザーに検討中の企業の対応状況について情報提供を依頼できます。面接の場で直接カスハラ対策について質問してもネガティブな印象を与えることはありませんが、聞きづらい人にとってはキャリアアドバイザーが心強い味方になるでしょう。
派遣で働く場合は、派遣会社のコーディネーターに、求人を出している薬局のカスハラ対策について確認してみるのがおすすめです。派遣社員は就業中も派遣会社からサポートを受けられるため、万が一カスハラに遭った際にも相談しやすい環境が整っているのが魅力です。事前の情報収集を通じて、安心して働ける職場を選ぶようにしましょう。
「アプロ・ドットコム」なら万が一の場合も安心
「アプロ・ドットコム」は薬剤師業界に特化しており、25年以上の実績を誇っています。そのため、薬局業界の動向に詳しく、個々の調剤薬局やドラッグストアの情報も把握しています。アプロを活用すれば、仕事を始める前に、カスハラ対策をはじめ、詳細情報を確認できるので、安心して仕事を始められるでしょう。もしも派遣薬剤師がトラブルに巻き込まれたり、仕事や人間関係で悩みが生じたりしたときは、しっかりサポートいたします。
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