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派遣の基礎知識

2025.07.22

派遣薬剤師VS正社員薬剤師 仕事、働き方、待遇を徹底比較

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薬剤師として働きたい、ブランクがあって復帰したいという方のなかには、派遣薬剤師と正社員のどちらを選べばよいか迷っている方もいるでしょう。派遣薬剤師と正社員薬剤師には仕事内容や働き方、待遇など、さまざまな違いがあります。

今回は両者の違いについてわかりやすく解説します。働き方に迷っている場合はぜひ参考にしてください。

そもそも派遣社員と正社員は雇用契約先が違う

派遣社員と正社員の大きな違いは、雇用契約先という点です。正社員は勤務先の企業と直接雇用契約を結び、その企業の一員として働きます。一方で、派遣社員は派遣会社と雇用契約を結び、別の企業に派遣されて働きます。

つまり、派遣社員の雇用主は実際に働く職場ではなく、派遣元の会社なのです。給与の支払いや雇用管理は派遣会社が行いますが、業務に関しては、派遣先の企業から指示されます。正社員の場合は勤務先が雇用主のため、給与は勤務先から支払われ、福利厚生は勤務先の企業の制度が適用されます。雇用も基本的に無期限となっており、安定した働き方ができるのが特徴です。

派遣薬剤師と正社員薬剤師の違い

ここからは、派遣薬剤師と正社員薬剤師の違いを細かく分けてみていきましょう。

・仕事内容

<派遣薬剤師>

調剤薬局で働く派遣薬剤師は主に投薬を担当します。ただし、在宅医療に特化した薬局では、正社員が患者宅を訪問することもあり、派遣薬剤師が薬の調剤を担うケースも。また、派遣先に薬剤師がひとりという状況では、調剤から監査、投薬までの一連の業務をこなすこともあります。

ドラッグストアではOTC(一般用医薬品)のみを扱う店舗への派遣は少なく、調剤部門を併設している店舗に配属されるのが一般的です。基本的に、処方箋に基づく服薬指導を行いながらOTC医薬品の販売にも対応します。さらに、健康相談や服薬指導に加えて、レジやOTC商品の棚補充などの業務も任されることがあります。

<正社員薬剤師>

正社員薬剤師は調剤薬局や病院、診療所などの医療機関に勤務していることが多く、その数は全体の約8割にものぼりますが、製薬会社などの医薬品関連企業、行政機関、大学などで活躍している人もいます。

薬剤師の主な役割は、医師が発行した処方箋に基づいて薬を調剤し、患者様への服薬指導や薬歴の記録、管理を行うことです。具体的な業務内容は、処方内容の確認(監査)や疑義照会、調剤とそのチェック、服薬指導、薬歴の作成・管理、医薬品の在庫管理や販売など、多岐にわたります。

・働き方

<派遣薬剤師>

派遣薬剤師はライフスタイルに合わせて勤務時間や曜日、就業期間を選べるため、柔軟で自由度の高い働き方ができます。契約で定められた範囲を超えて残業を強いられることはなく、万が一残業が発生した場合には残業代が支払われます。

いわゆるサービス残業になる心配はありません。労働時間がしっかりと管理されている点も、派遣という働き方の大きなメリットです。

<正社員薬剤師>

正社員薬剤師は、週休二日制でも曜日が固定されない「変則的な休日パターン」で勤務するケースも多いといわれています。たとえば、調剤薬局やクリニックでは日曜や祝日が休みとして設定されているのが一般的ですが、病院やドラッグストアでは、特定の曜日に休みが固定されていないこともあります。

薬剤師全体の月間平均残業時間は9時間程度といわれています。ただし、従業員数が1,000人を超えるような大規模な企業では、月12時間程度に増えるという調査結果も。また、管理職やリーダー職にはスタッフのマネジメントや会議対応などの業務が加わるため、さらに残業時間が長くなることもあるようです。

・働く期間

<派遣薬剤師>

派遣薬剤師の雇用形態はあらかじめ契約期間が定められた有期契約です。契約期間は1ヵ月から3ヵ月単位で設定されるのが一般的で、契約満了後に同じ職場で契約を更新するか、別の派遣先に移るかを選びます。

職場の雰囲気や業務内容が自分に合わない場合は、自分の意思で契約を延長せずに終了する選択もできるため、無理に働き続ける必要はありません。また、継続を希望しても派遣先の企業側から更新を見送られることもあります。

なお、労働者派遣法により、同一の派遣先で働ける期間は最長で3年間までと定められており、どれだけその職場で働き続けたくても、3年を超えて同じ場所で働くことはできません。

<正社員薬剤師>

正社員薬剤師は企業や医療機関と無期限の直接雇用契約を結んでいるため、長期的に同じ職場で働くことができます。派遣社員のように契約期間の満了や更新の有無を気にする必要はなく、安定した雇用が確保されています。

また、正社員は法律上も強い雇用保護を受けており、会社側の一方的な解雇は原則できません。重大な規律違反や業務上の問題がない限り、雇用が継続されるようになっているため、定年まで同じ職場でキャリアを積むことも可能です。

・待遇

給料

<派遣薬剤師>

派遣薬剤師の給与は一般的に時給制で支払われており、パートやアルバイトと比べて高めに設定されています。たとえば、パート・アルバイトの平均時給が2,000円前後であるのに比べ、派遣薬剤師の場合は3,000円程度が相場となっています。

ただし、派遣社員には通常賞与(ボーナス)や退職金といった手当は支給されません。これらをあらかじめ時給に上乗せして給与が決められているためです。また、派遣社員の場合、勤務先ではなく派遣元の会社の給与体系が適用されるため、就業前に派遣会社の条件や制度内容をしっかり確認しておきましょう。

<正社員薬剤師>

正社員薬剤師は月給制が基本であり、毎月決まった額の給与が支給されます。賞与が年に数回支給される企業も多く、収入の安定性が非常に魅力です。多くの職場では勤続年数に応じた昇給制度が採用されており、長く勤務すれば徐々に年収が上がっていく仕組みになっています。資格手当や役職手当などの各種手当の支給も一般的で、努力やキャリアに応じた評価が収入に反映されやすいでしょう。

ただし、1年間フルタイムで働いた場合、時給ベースで比べると派遣薬剤師の年収のほうが高くなることもあります。派遣は時給が高めに設定されているため、ボーナスがないとしても、条件によっては正社員を上回る収入を得るケースがあります。

福利厚生

<派遣薬剤師>

派遣薬剤師も福利厚生を受けることができますが、適用されるのは派遣先の制度ではなく、派遣会社が提供する福利厚生です。そのため、勤務先の正社員と同じ内容の待遇は受けられません。

ただし、法律で義務づけられている社会保険や労災保険など基本的な制度は必ず受けられます。また、多くの派遣会社では薬剤師賠償責任保険への加入も行っており、業務上のリスクにも備えられるようになっています。社会保険の加入条件や自己負担額、有給休暇の取得ルールなどは派遣会社によって異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。

<正社員薬剤師>

正社員薬剤師は勤務先の福利厚生制度が利用できます。法律で義務づけられている制度以外にも通勤手当や住宅手当、結婚祝い金、自己啓発支援のための研修制度などが用意されていることがあり、企業ごとに内容や充実度はさまざまです。

また、ほとんどの企業では薬剤師賠償責任保険にも加入しています。福利厚生の内容は勤務先によって大きく異なるため、あらかじめ制度の詳細を確認しておくことが大切です。

目的によって向いている雇用形態は変わる

「キャリアを積みたい」「私生活とのバランスを大切にしたい」など、適した雇用形態は人それぞれ違います。そのため、自分の希望や将来のビジョンに合わせて、柔軟に働き方を選ぶことが大切です。

<派遣薬剤師>

ワークライフバランスを保ち、自分のライフスタイルや家庭の事情に合わせて働きたい方にとって、派遣は非常に柔軟で魅力的な働き方です。たとえば、子育て中で保育園や習い事の送迎、学校行事などに対応しなければならない方、親の介護をしている方にとっては、勤務時間や曜日を調整できるのが大きな助けになるでしょう。

プライベートの時間を大切にしたい方にも派遣は向いています。趣味の時間を確保したい、定期的に旅行に出かけたい、家族との時間を優先したいなどの希望がある場合、残業が少なく、長期休暇も取りやすい派遣がぴったりです。

派遣薬剤師は、短期間で効率よく収入を得たい方にもおすすめの働き方です。たとえば、海外留学の資金を貯めたい、将来の独立資金を準備したいなど、明確な目標がある方にとって、短期集中で稼げることは大きなメリットになるでしょう。

そのほか、ひとつの職場ではなく、さまざまな現場で経験を積みたい方にも最適です。さまざまな職場環境に身を置くことで、柔軟な対応力や幅広い知識を身につけることができます。

<正社員薬剤師>

安定した環境で働きたい方には正社員が適しています。派遣は有期契約なので一定期間ごとに職場が変わる可能性があり、新しい職場のルールを覚えたり、新たな人間関係を築いたりしなければなりません。環境の変化にストレスを感じやすい方には、派遣という働き方は負担が大きいかもしれません。また、契約更新の有無や次の派遣先を見つけなければならないという不安もつきまとうでしょう。

また、正社員は毎月決まった額の給与が支給されるうえ、賞与や昇給制度が整っている企業も多く、収入面でも安心できます。派遣は時給が高いというメリットがありますが、契約終了によって収入が途絶えるリスクもあります。

さらに、キャリアアップをめざす方にも正社員という働き方が最適です。派遣では基本的に薬局長やマネージャーといった管理職には就けません。そのため、キャリアをしっかり築いていきたいならば、正社員として働くほうが向いているでしょう。

正社員をめざすなら「紹介予定派遣」という選択肢もあり

今までの内容を読み、「まずは派遣社員として働きたいけど、いずれは正社員になる道も捨てがたい…」という方もいるでしょう。実は、派遣薬剤師として働きながら将来的に正社員をめざしたい場合には「紹介予定派遣」という制度を活用するのもおすすめです。

紹介予定派遣とは、派遣先での直接雇用を前提に、まず一定期間(最長で6ヶ月間)派遣社員として勤務し、その後、本人と派遣先双方の合意があれば、正社員やパートとして雇用契約を結ぶ仕組みです。この制度では、実際の職場環境や業務内容を体験したうえで、直接雇用してもらうかどうかを判断できるのがメリットです。

働き始めてから「思っていた職場と違った」と感じるズレを減らせるため、職場とのミスマッチを避けたい人にとっては安心感のある選択肢といえるでしょう。ただし、紹介予定派遣はあくまで直接雇用を結んでもらえるというもので、正社員として雇用してもらえると確定されているわけではありません。正社員として雇用してもらいたい場合は、正社員登用してもらえるかをしっかり確認しましょう。

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今回ご紹介した派遣薬剤師や正社員薬剤師としての働き方についても、それぞれの雇用形態に精通したキャリアアドバイザーが丁寧にカウンセリングを行います。そのうえで、一人ひとりのバックグラウンドや強み・弱み、キャリアに対する考え方、勤務時間や休日などの希望条件をきちんと理解し、あなたに合った職場を提案。もちろん、無理に案件を押しつけることはありません。

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派遣という働き方に関心がある方や、転職を検討している方はもちろん、ちょっとでも興味が湧いた方は、まずはお気軽にご相談ください。あなたにぴったりの働き方を一緒に見つけていきましょう。