転職ノウハウ

薬剤師の転職活動を成功させるポイントや転職活動の流れを解説。応募書類の書き方や面接対策など、アプロ・ドットコム(IQVIAグループ)が培ってきたノウハウもご紹介して、薬剤師のみなさまの疑問や不安を解消いたします。

薬剤師の円満退職のポイント

無事に転職先が決まっても、退職を申し出る段階でトラブルに遭うことは多々あります。ここでは薬剤師がいまの職場を退職する際の伝え方やタイミング、各種手続きについてまとめました。次のステージに向けてよりよいスタートを切るために、ぜひお役立てください。

退職時の基本姿勢

退職を申し出る際には、前提として「現在の会社に敬意を払い、できるだけ迷惑をかけない」姿勢を持つことが大切です。あなたのスキルや経験は、いまの職場で培われたもの。自分を成長させてくれた会社への感謝を忘れず、誠意を持って退職を申し出ましょう。

現在の職場で尊敬する上司や、お互いに高め合える同僚に出会った人もいるでしょう。転職したあとも前職時代に親しんだ方々と交流を保てるように、退職まできっちりと勤め上げることを心がけてください。

一方で、退職するという「強い意志」を持つことも大切です。薬剤師はどの職場も人手不足なので、引き止めにあう可能性は少なくありません。退職を止められても情に流されないよう、いま一度自分の中で将来のビジョンを思い描いてくださいね。

退職理由

退職を決意した以上は、現在の仕事に対して何らかの「不満」を持つ人がほとんどでしょう。しかし、不満を前面に押し出してしまうと、円満退職は実現できません。

退職理由を述べる際には、前向きな理由を伝えてください。「新しい仕事にチャレンジしたい」など、次のステージに進みたい気持ちをアピールするとよいですね。スキルアップやキャリアアップをめざしているニュアンスが伝わればOKです。

具体的な退職理由を伝えるのは控えましょう。退職理由を具体化しすぎると、改善策を提案されることがあるので注意してください。たとえば、通勤時間の長さを理由に退職を申し出ると、自宅近くの支店への異動を提案される可能性があります。「残業が多い」「休みが少ない」なども、伝えないほうが無難です。

残念ながら、退職を取り消したところで、不満が改善されるケースはほぼありません。引き止めは「その場限りの手段」であると思っておいて損はないでしょう。

伝える相手と伝え方

辞意を伝える相手は、まず「直属の上司」です。会社は組織ですので、伝える相手を間違えると退職交渉が難航します。注意してくださいね。

退職を伝える流れは、以下の通りです。

①直属の上司に声をかけ、時間を取ってもらう

「ご相談があるのですが」「少しお時間をいただけないでしょうか」と前置きして、上司に時間を取ってもらいます。伝える際には、ほかのスタッフがいる職場ではなく、バックヤードやレストルームなど落ち着いた空間を選びましょう。

②退職を希望する旨と、退職日を伝える

退職の意志を、退職日と合わせて伝えます。明確な退職日を示さないと、「引き止めれば残ってくれるだろう」と思われ、退職をうやむやにされてしまう可能性もあります。しっかりと上司の目を見て、「この日に退職したい」旨を伝えてください。

いきなり退職届の書面を渡すことは、違法ではないものの、非常識な印象を与えかねません。また、退職届や退職願は、勤め先によって提出の必要性が異なるので、就業規則を確認してから用意してくださいね。

退職を伝えるタイミング

薬剤師が退職を伝えるタイミングとしては、以下の3点を頭に入れておきましょう。

・余裕をもって1か月以上前に申告する
・就業規則に退職について規定がある場合は、可能な限り規則に従う
・繁忙期を避ける

法律上は、労働者から退職を申し出る場合、最短2週間前に伝えれば問題ありません。しかし、円満な退職を考えると、1か月以上前に伝えることが望ましいといえます。

会社の就業規則で退職手続きについて規定がある場合は、規則に準ずるのが基本です。法律の規定を理由として強引に退職を主張することも可能とはいえ、就業規則に納得して就職した以上は、できるだけ会社の規則に従う形で退職を進めましょう。

調剤薬局ではピークとなる冬場を避ける、企業では担当業務の終了に合わせるといった配慮も大切です。会社や同僚に迷惑をかけないことはもちろん、自分自身の引継ぎ業務が軽減されるメリットもあります。

退職申告が遅れた場合、退職させてもらえない場合は?

調剤薬局や病院の就業規則の中には、「退職は2か月前(管理薬剤師は3~6か月前)に上長に申告すること」と決められているケースもあります。その通りに申告しないと退職を認めてもらえないというのは、薬剤師の世界でよくある退職トラブルです。

この規定の背景には、下記のような「企業側の都合」があります。

・処方箋の長期化により60日処方や90日処方があり、担当患者様への対応や、他スタッフへの引継ぎに時間がかかるから
・人手不足のため、後任が決まったあとに退職してほしいから

法律上、「退職申告が遅れた」「後任がいない」などを理由に、企業側が退職を却下することはできません。正しく退職の手順を踏んだのに関わらず、退職させてもらえない場合は、直属の上司より階層が上にあたる管理職・経営層に相談しましょう。法律を根拠として交渉をすれば、退職もスムーズに進むはずです。

退職時に返却するもの

退職する場合、会社から支給された以下のものは基本的にすべて返却します。扱いがわからないものに関しては自分で判断せず、随時会社に確認してください。

・社員証、社章・バッジなど
・健康保険被保険者証(退職後に任意継続制度を利用することも可能)
・会社から貸与されているもの(制服・シューズ・名刺など)
・会社の経費で購入したもの(事務用品・書籍など)
・企業情報に関する社内資料・PCデータ、個人情報に関するもの

退職時に受け取るもの

退職の際に、以下の書類は必ず受け取ってください。

・雇用保険被保険者証
・源泉徴収票
・離職票

雇用保険被保険者証と源泉徴収票は、転職先の企業に提出します。源泉徴収票や離職票は後日郵送されるケースが多いので、引っ越す場合は転居先の住所を伝えておきましょう。

離職票に関しては、転職先が決まっているのであれば、必ずしも必要ではありません。転職先が決まっていない場合は、雇用保険の受給手続きの際に、雇用保険被保険者証と合わせてハローワークに提出します。

まとめ:薬剤師の円満退職に必要なこと

円満退職を実現するためには、会社への感謝を忘れずに持ちつつ、一方で退職への強い意志も持つことが大切です。退職理由は具体化しすぎず、不満を前面に出さないように気を付けて。また、一番最初に退職を伝えるべき相手は、直属の上司となります。

退職を切り出すタイミングとしては、退職日の1か月以上前がベストです。繁忙期は避けます。就業規則に規定がある場合は従いましょう。退職時には、会社へ返却するものと会社から受け取るものを確認し、必要な書類を揃えて転職先に提出してください。

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