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薬剤師のライフスタイル

2025.10.10

パート薬剤師の年収と子育ての時間はどこまで両取りできる?時給と働き方でシミュレーション

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「子どもとの時間も大切だし、仕事も同じぐらい大切。でも将来のことを考えると年収も上げたい」など、ママ薬剤師のなかには「子どもとの時間を確保したい」「収入を扶養内に収めたい」といった理由でパート薬剤師として働いている人も多いでしょう。子育ても仕事もがんばっているからこそ、それに見合う収入を手にしたいと考えるのは当然です。

今回は、そんなママ薬剤師に向けて、パート薬剤師が子育てをしながらどれくらいの収入を確保できるのかを紹介します。年収が高くなったとしても手取りが減ってしまっては意味がありません。そのため、時給や働き方など具体的にシミュレーションしながら、最適な両立の方法を紹介します。

パート薬剤師の時給

令和6年の賃金構造基本統計調査によると、短時間勤務の薬剤師、いわゆるパート薬剤師の平均時給は2,639円となっています。ただし、この金額は地域や求人内容によって差があり、なかには時給3,500円を超える募集も存在しています。

一般的なパートでは都市部の時給のほうが高い傾向ですが、薬剤師の場合は逆になり、地方のほうが高時給になるケースが多いです。これは都市部では薬剤師の人数が比較的多く、需要に対して供給が足りているためです。

一方で、地方では人口減少の影響や、大学の薬学部が少なく薬剤師の数が限られていることから、時給が高めに設定されやすいです。また、土日や祝日、夜間など人手が不足しがちな時間帯に勤務できる場合、通常よりも高い時給での採用が期待できます。

パートにもフルタイム勤務はある

フルタイム勤務とは、企業や団体が定めた所定の労働時間に沿って、週あたりの標準的な時間で就労する働き方です。

労働基準法では、1日8時間以内・週40時間以内という上限が設けられており、これを基準に働くケースが一般的です。正社員や契約社員に多く見られる働き方ですが、パートタイムの雇用形態でもフルタイム勤務は可能です。

パート薬剤師の給料例

ここからは、パート薬剤師の給料例をいくつか見ていきましょう。

【フルタイム勤務の場合】

ここでは、1日8時間・週5日勤務で週40時間働くスタイルをフルタイムとします。

時給2,639円×1日8時間=21,112円 21,112円×週5日×4週間(1ヵ月)=422,240円 月収422,240円×12ヵ月=5,066,880円

パート薬剤師でもフルタイムに近い働き方をすれば、税引き前の月収が約42万円になることがわかります。専門職としての高い時給が反映されており、安定した収入を得られるのが特徴です。なお、年収は約507万円になります。勤務時間や曜日によってはさらに上乗せされるケースもあり、条件次第では正社員並みの収入が期待できます。

【短時間勤務で週5働く場合】

それでは、週5日勤務でもフルタイムではない場合はどれくらいになるのでしょうか。

・週5日×1日6時間の場合

時給2,639円×1日6時間=15,834円15,834円×週5日×4週間=316,680円で、月収は約32万円月収316,680円×12ヵ月=3,800,160円で、年収は約380万円

・週5日×1日4時間の場合

時給2,639円×1日4時間=10,556円10,556円×週5日×4週間=211,120円で、月収は約21万円月収211,120円×12ヵ月=2,533,440円で、年収は約250万円

・週5日×1日2時間の場合

時給2,639円×1日2時間=5,278円5,278円×週5日×4週間=105,560円で、月収は約11万円月収105,560円×12ヵ月=1,266,720円で、年収は約127万円

【扶養内を意識して短時間勤務する場合】

パート勤務は短時間で働けるため、扶養の範囲内で収入を調整できます。ただし、扶養には「税制上の扶養」と「社会保険の扶養」があり、それぞれ基準が異なるので注意が必要です。

税制上の扶養では、年収が103万円以下であれば所得税の支払い義務はありません。給与所得控除の55万円と基礎控除の48万円を差し引くと、課税対象がゼロになるためです。住民税については自治体によって異なりますが、年収が100万円以内であれば非課税となるケースが多く見られます。

一方で、社会保険の扶養は勤務先の従業員数などによって条件が変わってきます。なお、以下の条件全てに当てはまると社会保険に加入する必要があります。

・所定労働時間が週20時間以上

・月収が8万8,000円以上

・雇用期間が2ヵ月を超える見込みがある

・学生でない

・厚生年金の被保険者が51人以上いる職場である

さらに、年収が130万円を超えると、企業の規模に関係なく自分で健康保険料や年金保険料を支払う必要があります。扶養内で働けば各種控除を受けることができますが、制度の見直しが行われることもあるため、常に最新の情報を確認するようにしましょう。短時間勤務を選ぶ場合は、こうした扶養の基準を意識し、働き方を調整しなければなりません。

さまざまな年収の壁

ここからは、扶養内で短時間勤務したい場合に意識したい年収の壁を見ていきましょう。

・年収103万円以内

1年を52週として時給2,639円で働いた場合、1週間の労働時間を週7.5時間以内に収める必要があります。たとえば、週5日勤務なら1日およそ1.5時間、週3日勤務なら1日2.5時間、週2日勤務でも1日3.7時間しか働けません。思ったより働けないと感じるかもしれません。

・年収130万円以内

103万円以内よりは余裕がありますが、週の労働時間を9.4時間以内に収めなければならず、やはり思ったより働けないと感じるかもしれません。週5勤務なら1日1.5時間、週3日勤務なら3時間、週2日勤務なら4.7時間になります。

・年収160万円

年収130万円を超えると社会保険料を支払うため、手取りが減少します。しかし一定の年収を超えると扶養内でいた時の年収を上回ります。一般的には、年収160万円~170万円程度といわれています。それでは時給2,639円でみてみましょう。

160万円 ÷ 2,639円 ≒ 607時間/年(≒ 週11.7時間) 週5勤務では、約2.3時間、週3勤務なら約3.9時間になります。

・年収170万円 

170万円 ÷ 2,639円 ≒ 645時間/年(≒ 週12.5時間) 週5勤務では、約2.5時間、週3勤務なら約4.2時間です。 週12時間以上働く場合、扶養から外れて働くほうが手取りは増える可能性が高くなります。とはいえ、他の職種と比べると短時間勤務で稼げるので、子育て中のママ薬剤師にとってはいい話といえるでしょう。

令和7年度税制改正による大きな変化

令和7年度の税制改正によって、所得税に関する基礎控除や給与所得控除の見直しが行われ、新たに「特定親族特別控除」が作られました。これらの変更は令和7年12月1日から施行されることになっており、令和7年分以降の所得税に適用されます。

そのため、年末調整や源泉徴収に影響します。この改正では、所得税の非課税限度額が以前の103万円から160万円に引き上げられ、住民税の基準も100万円から110万円程度に変更されました。

住民税の課税基準は自治体によって異なりますが、だいたい110万円が目安とされています。年収が106万円を超えると、勤務先の規模や労働条件によっては社会保険への加入が必要となり、保険料の負担が発生する点は変わりません。ただし、この106万円の壁については、将来的に廃止される方向で検討が進められています。

ママ薬剤師がパートとして働くメリット

ここからは、ママ薬剤師がパートとして働きメリットを見ていきましょう。

・時給が高い

薬剤師は新卒時点での給与水準が他の業種よりも高いことが多く、出産後に時短勤務を選んだ場合でも基本給が下がりにくいという特徴があります。

仮に退職してパートとして再就職した場合でも、薬剤師としての専門性が評価されるため、時給は一般的なパートよりも高く設定されます。最低賃金付近で募集されることが多い一般的なパートとは違い、薬剤師の時給は全国的に一定水準を保っています。これは国家資格の強みともいえます。

また、転職によって時給が下がりにくいのも薬剤師のメリットです。一般企業では、退職後に以前よりよい条件で再就職するのは難しく、以前のような収入を得るのは容易ではありません。高学歴で一流企業に勤めていた女性が、子育て後にレジ打ちのパートに就くというケースもよくあります。

しかし、薬剤師であれば再就職後に高時給のパートに就くだけではなく、正社員として復帰する際も年収水準を維持しやすくなります。さらに、パートにも関わらず、職場によっては昇進や賞与のチャンスがあるなど、長期的なキャリアにも柔軟に対応できる環境が整っています。

・勤務を調整しやすい

パート薬剤師の仕事はシフト制が多いため、柔軟に勤務時間を調整できる点が大きな魅力です。家事や育児を優先させながら、それに合わせて働く時間を選べるため、余裕を持って働けるでしょう。

さらに、自宅や保育園の近くの職場を探しやすいのも、子育て中のママにとって助かるポイントです。薬剤師は時給が高いため、限られた時間の中でも一定の収入を得ることができ、子どもとの時間を大切にしながら働くことが可能です。

・正社員よりも責任のある業務が少ない

薬剤師は責任感の必要な仕事ですが、正社員とパートを比べると、やはり正社員のほうが責任のある業務を担います。子育て中は子どもの発熱などで急に休まなければならないことも出てくるため、少しでも責任が軽くなるのはありがたいですね。

・長期的な雇用が前提

パートと似た働き方として派遣社員があり、選んでいる人も多くいます。ただし、派遣社員は同じ職場で働けるのは最長3年という雇用制限があります。同じ職場で長期的に働きたいと思っている場合はパートとして安定を重視して働くのがおすすめです。

扶養から外れれば収入アップの可能性も

これまで見てきたように、扶養内で働くことには税制面や保険料負担の軽減などのメリットがありますが、収入の調整には注意が欠かせません。しかも、税制改正があると自分の希望どおりに物事が進むとは限りません。

薬剤師は高時給のため、勤務時間を少し増やすだけで社会保険の加入対象になる場合もありますが、将来的な年金受給額の増加を考えれば、それも収入の一部と考えられます。

収入を増やすためには、思い切ってフルタイムで働くのもひとつの方法です。フルタイムといってもパート勤務なら残業が少なく、家庭との両立がしやすいでしょう。また、フルタイム勤務になれておけば、子育てに余裕が出てきたタイミングで、自分のライフスタイルに合った働き方を見直しやすいかもしれません。

ママ薬剤師がパートで働く際の注意点

最後に、ママ薬剤師がパートで働く際の注意点を3つ紹介します。

・家族の協力を得る

家族のサポートが得られる環境が整っていれば、ママ薬剤師として働きやすくなります。たとえば、「実家が近くて緊急時に助けてもらえる」「夫の帰宅が早くて育児に参加してもらえる」といった場合は、仕事と家庭の両立がしやすくなります。まずは働くことへの賛同を得て、家族で協力し、無理なく続けられる体制を整えることが大切です。

「私が家事と育児をがんばれば何とかなる」と思い込んで無理をすると、心身に負担がかかってしまいます。周囲の力を借りながら、無理なく働ける環境を作っていきましょう。

・ママでも働きやすい職場を選ぶ

薬剤師を大切にしている職場は、残業時間や有給休暇の取得率などをきちんと管理し、働きやすい環境を作っています。数値を公開することが企業としての信頼やイメージアップにもつながることを理解しているのです。

一方で、ブラックな職場ほど勤務実態を隠しやすく、外部からは見えにくい部分が多くなります。そのため、職場を選ぶ際には企業のホームページの情報だけでなく、転職エージェントなどを通じて実情を確認しておくと安心です。

・通いやすいさを重視する

子どもが保育園や幼稚園に通っている時期は、特に通勤のしやすさを優先しましょう。どれだけ条件のよい求人でも、職場が自宅や保育施設から離れていると、日々の生活に支障が出やすくなります。

通勤時間が長いと急な呼び出しへの対応が難しくなったり、買い物や家事に割ける時間が減ってしまったりします。子育てと仕事を両立するためには、無理なく通える職場を選ぶことが大切です。

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