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薬剤師の仕事・キャリア

2026.03.03

在宅医療で活躍する薬剤師の仕事・メリット・収入・将来性

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薬剤師の仕事といえば、調剤薬局のカウンター越しに患者様へ薬を渡し、服薬指導を行うイメージを持つ人が多いかもしれません。しかし、最近は薬剤師が活躍する舞台は大きく変わりつつあります。

この記事では、在宅訪問業務の具体的な仕事内容や実際のメリット、収入、将来性について詳しく解説します。在宅医療に対応できる薬剤師であるかかりつけ薬剤師についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

薬剤師の活躍の場が、薬局の外へ広がっている

近年、急速に進む高齢化を背景に、国は病院での入院から在宅医療へのシフトを強力に推進しています。これにともない、患者様の自宅や施設に出向いて薬学的管理を行う「在宅訪問」の需要が急激に高まっています。

実際に在宅での訪問薬剤指導の実施件数は過去20年あまりで約12倍に増加しており、今後もその伸びは続くと予想されています。こうした時代の流れのなかで薬剤師としてこれからのキャリアや転職を考えるとき、在宅医療のスキルを身につけておくことは大きな強みになるでしょう。

在宅医療の推進と必要性

まずは、在宅訪問業務がなぜ必要とされているのか、その背景を理解しておきましょう。

社会が求める「在宅シフト」の加速

日本は現在、世界でも類を見ない水準で高齢化が進んでいます。医療費の増大や入院病床の不足が社会問題となりつつあるなか、国が打ち出した方針が「地域包括ケアシステム」の推進です。これは、高齢者や要介護者が住み慣れた地域で、自分らしい生活を最期まで続けられるよう、医療・介護・生活支援を地域全体で支えていくという考え方です。

現在、終末期に自宅での療養を希望する人の割合は6割を超え、要介護状態になっても在宅での介護を望む人は4割以上にのぼるとされています。訪問診療の件数も2000年代以降に急増しており、在宅医療を担う専門職全体の需要が大きく拡大しているのです。

診療報酬改定が後押しする在宅訪問を担う薬剤師の役割

2024年度の診療報酬改定では、質の高い在宅医療を推進する方針が明確に打ち出され、薬剤師が在宅医療において果たす専門的な役割への評価も拡充されました。在宅患者訪問薬剤管理指導料などの算定要件の整備も進み、薬局が在宅医療へ参入しやすい環境が整いつつあります。

一方で、実際に在宅薬剤管理指導料を算定している薬局は全体の約1割にとどまっており、まだまだ普及途上にあるのが現状です。専門的な知識とスキルを持つ薬剤師の確保が急務となっており、在宅医療に対応できる人材の求人ニーズは今後ますます高まることが見込まれます。

薬剤師の在宅訪問業務とは

それでは、在宅訪問薬剤師の業務について詳しく見ていきましょう。大きく「訪問前」「訪問中」「訪問後」の3つのフェーズに分かれます。訪問の頻度は医療保険・介護保険ともに基本的に月4回までとされており、がん末期の患者様などは週2回(月8回まで)の訪問が認められています。

訪問前

訪問前には、医師から届いた処方箋の内容を確認し、患者様の状態や過去の服薬記録を踏まえながら薬剤を調剤・準備します。同時に医師や看護師、ケアマネジャーと情報を共有し、訪問スケジュールの調整を行います。

訪問中

処方された薬を患者様の自宅や施設に届けます。同時に、服薬方法の説明、薬の効果・副作用の確認、残薬の整理、飲み忘れや飲み間違いを防ぐためのお薬カレンダーや一包化の提案など、患者様一人ひとりの状況に合わせてきめ細かな対応をします。

生活環境を直接観察できることは在宅ならではの強みであり、患者様の日常に合わせた服薬指導が可能になります。また、在宅酸素療法や吸引器など、医療機器が適切に使用されているかの確認や指導も、重要な業務のひとつです。患者様本人だけでなく、家族やヘルパーなどのキーパーソンとコミュニケーションを取りながら、生活全体を把握することも求められます。

訪問後

訪問後は薬局に戻り、訪問記録を作成して医師や多職種チームに報告します。服薬指導の内容や患者様の変化などを記録し、必要に応じて処方内容の変更を医師に提案することもあります。このように、在宅訪問の仕事は調剤と指導にとどまらず、多職種連携のハブとしての役割も担っています。

在宅訪問業務を担うメリット

在宅訪問業務は、薬剤師にとっても大きなメリットがあります。

患者様一人ひとりとじっくりと向き合える

調剤薬局での服薬指導は短時間で終わることが多いものですが、在宅訪問では1回あたり30分から1時間程度を患者様と過ごします。生活の場に入り込むことで、薬の管理状況や療養環境を直接把握でき、より個人に合わせたサポートが可能になります。患者様や家族から直接感謝の言葉を受け取る機会も増え、大きなやりがいを感じられるという声も多くあります。

専門知識と実践力が身につく

さらに、多様な疾患や治療に触れることで専門知識が広がるうえ、医師・看護師・ケアマネジャーとの連携を通じてチーム医療の実践力が身につきます。こうした経験とスキルは、薬剤師としてのキャリアの幅を確実に広げる財産になります。在宅医療の経験者は転職市場でも評価が高く、有利な条件での求人に出会いやすい点も大きなメリットといえるでしょう。

在宅訪問業務の担う薬剤師の収入

在宅訪問薬剤師の平均年収はおよそ400万円から700万円程度。一般的な調剤薬局勤務の薬剤師とほぼ同等か、やや高めの水準です。在宅患者様向けの処方箋単価の高さや、在宅医療に関する診療報酬加算、移動や時間外・緊急対応に伴う各種手当などがあり、これらが収入が高めになる要素です。

現時点では在宅専門薬剤師に絞ったデータが十分に整備されていないものの、在宅医療に対応できる薬剤師を確保するために、相場より高い水準で求人を出している薬局も増えています。今後、在宅業務を行う薬局の数が増え、在宅医療における薬剤師の役割がさらに評価されるにつれて、収入水準の上昇も期待できるでしょう。

また、認定薬剤師や専門薬剤師の資格を取得することで資格手当が加わり、さらなる年収アップにつながる可能性もあります。地方では都市部より薬剤師の人手不足が深刻なため、給与水準が高い地域で働くという選択肢も収入アップにつながるでしょう。

在宅訪問業務における将来性

今後ますます高齢化は進み、在宅療養を希望する患者様は確実に増えるため、在宅医療を支える薬剤師の需要は長期的に伸び続けると予測されます。診療報酬の評価についても整備が進んでおり、国策として在宅医療の推進が続く限り、この分野の重要性が薄れることはないといえます。

現状では在宅医療の専門知識を持つ薬剤師はまだ少数派であるため、今のうちに経験を積んでおくことは将来のキャリア形成において大きなアドバンテージになります。在宅医療の現場を経験した薬剤師は、転職活動においても有利な条件で交渉できる可能性が高く、求人の幅も広がります。かかりつけ薬剤師として在宅訪問を担うケースも増えており、地域医療における薬剤師の役割はこれからますます重要になってくるでしょう。

一般薬剤師との違い

それでは、一般薬剤師と在宅訪問業務を行う薬剤師の違いは具体的にどんなところなのでしょうか。

活躍の場が異なる

一般の薬剤師は薬局の内部で業務が完結しますが、在宅訪問薬剤師は薬局での準備を終えた後、患者様の自宅や施設で業務を行います。

患者様により深く向き合う

数分から十数分程度の短時間で行われる一般薬局での服薬指導に比べると、在宅訪問では1回の訪問に30分から1時間をかけて患者様とじっくり向き合います。生活環境を実際に見ることで、服薬管理の問題点把握や個別に合わせた指導が可能になります。

また薬局に来局する患者様とは違い、寝たきりや自由に動けない患者様などにも対応します。薬局内よりもより個人に合わせた丁寧な対応が必要になり、認知機能が低下した患者様や終末期の患者様のコミュニケーションには高いスキルと経験が必要です。

業務の幅が広い

書類作成の多さも大きな違いのひとつ。在宅医療では、薬学的管理指導計画書、医師・ケアマネジャーへの報告書、多職種カンファレンスの議事録など、一般業務より多様な書類が求められます。業務の幅が広い分、責任とやりがいが同時に大きくなる仕事といえるでしょう。

在宅訪問業務を担当するには

在宅訪問業務を始めるにあたって、特別な免許や必須資格はありません。薬剤師免許を持っていれば、原則的として在宅訪問業務に従事することができます。

ただし、実際の現場では薬物療法の知識だけでなく、患者様の認知機能や身体機能を踏まえた総合的な判断力、多職種と連携するためのコミュニケーション能力などが求められます。ひとりで訪問先の状況に臨機応変に対応できる判断力も必要です。在宅訪問業務を念頭に入れるなら、次のことを意識しましょう。

在宅医療に対応できる職場環境を選ぶ

在宅訪問業務を行っていない薬局では、いくらスキルを磨いても実践の機会は得られません。在宅医療を積極的に推進している職場では、先輩薬剤師による同行訪問やケースカンファレンスなどのサポート体制が整っています。初めてでも段階的にスキルを習得できる環境が用意されているでしょう。

在宅医療に力を入れている薬局を職場に選ぶことで、学んだ知識を実際の現場で活かせるようになります。求人情報を探す際には、「在宅訪問あり」「在宅専門」「かかりつけ薬剤師推進」などのキーワードに注目してみましょう。

在宅医療専門の薬局を選ぶ

在宅医療専門の薬局への転職も選択肢のひとつです。外来対応がなく在宅業務に集中できることから、スキルアップのスピードが上がりやすいという側面もあります。

スキルの証明でもある専門資格を取得する

研修認定薬剤師や在宅療養支援認定薬剤師などの資格は、専門知識の裏付けとなるだけでなく、患者様や職場からの信頼を高めることにもつながります。特に「在宅療養支援認定薬剤師」は必須ではありませんが、在宅での薬物療法を支援するための資格です。

申請には一定年数の薬剤師実務経験や在宅業務の実践事例の報告などの条件が設けられており、取得することで在宅医療に必要な知識と実践力が体系的に身につきます。認定薬剤師・専門薬剤師へのキャリアアップが、管理薬剤師や専門性の高いポジションへの道を開くケースも少なくありません。

かかりつけ薬剤師として関わる

「かかりつけ薬剤師」も在宅訪問業務と密接に関わります。かかりつけ薬剤師とは、患者様が服用するすべての薬を一元的に把握し、継続的・包括的に薬学的管理を行う薬剤師のこと。処方薬の飲み合わせの確認、副作用のモニタリング、残薬の管理、そして必要に応じた在宅訪問まで、患者様の薬に関するあらゆる相談を受け持ちます。

かかりつけ薬剤師の需要は在宅医療の推進とともに急速に高まっており、地域医療において欠かせない役割を担うようになっています。かかりつけ薬剤師として関わることもできるでしょう。

かかりつけ薬剤師には算定要件が定められています。「薬局に一定時間勤務していること」「薬剤師としての実務経験が一定年数以上あること」「研修認定薬剤師等の資格を有すること」など、こうした条件を満たすことがひとつの目標となります。薬剤師としての実務経験を積む必要があり、薬局や病院での日常業務を通じて多様な疾患・薬剤の知識を広げるとともに、患者様や医療スタッフとのコミュニケーション能力を磨いていくことが大切です。

在宅訪問業務を行うことは、患者様の生活と命に直接向き合うことでもあります。医師や看護師と対等に連携し、患者様の「その人らしい生活」を薬の専門家として支えることができる、薬剤師という職業の本質的な価値を発揮できる働き方といえるでしょう。

日本の将来を支える在宅医療に携わるなら「アプロ・ドットコム」

薬剤師として今後も活躍し続けるなら、在宅医療に対応できるスキルを身につけることは大切です。まずは在宅訪問業務を行っている職場への転職や異動を検討し、実践の機会を積み重ねることから始めてみましょう。

求人探しの段階から、在宅医療への取り組み姿勢や研修体制、キャリア支援の充実度を見極めることは理想の働き方への近道になります。自分のキャリアと将来を見据えて、在宅医療という新しいフィールドへの1歩を踏みだしてみませんか?

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