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薬剤師の仕事・キャリア
2025.08.08
薬剤師の転職難易度は年齢で変わるってホント?

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2007年10月1日に改正雇用対策法が施行され、特別な事情がある場合を除き、求人に年齢制限を設定することが禁止されました。また、年齢を理由に応募を断ったり、書類選考や面接の合否を決めたりすることも禁じられました。つまり、年齢を重ねたことにより転職ができない、または極端に難しいということはなくなったのです。
薬剤師の転職市場はどうなのでしょうか。ここでは、薬剤師の年齢別の就業状況や収入を紹介しつつ、年齢によって転職難易度がどのように変わるのかを見ていきます。「転職したいけど、年齢的に難しいかもしれない」と思ったら、ぜひ、読んでみてください。
目次
薬剤師の転職に年齢制限はない
薬剤師は業務独占資格です。薬剤師ではない人が医薬品を調剤したり、患者様に処方薬や第一類医薬品を販売したりすることはできません。そのため、比較的求人が安定しています。また、調剤薬局やドラッグストアを中心に人手不足の職場が多いため、年齢によって転職の難易度が急激に上がることも少ない傾向です。
ただ、薬剤師の人数は増加傾向にあり、毎年若い薬剤師が増えています。若い薬剤師はポテンシャルに期待できる、給与が安くて済む、特定の企業の色に染まっていないため柔軟性があると高く評価されます。特に正社員採用では、定年までの勤務年数を考えると若い薬剤師は長期的な活躍が期待できるため、どうしても年齢を重ねた薬剤師は不利になります。
つまり、年齢を重ねて転職をするなら戦略的に活動しないと、希望通りの職場で働くことは難しいといえます。
また、転職回数が多いと、飽きっぽい人、少しでも職場が合わないと感じたら辞めてしまう人と捉えられ、採用は敬遠されがちです。薬剤師の場合、他の職業と比べて転職回数の多さは問われない傾向ですが、30代で3回以上の転職を重ねていると少し多めといえます。
転職を考えているなら、最短で自分の目標やキャリアが実現できる職場を選んでいくことが重要です。
まずは、薬剤師の現状を把握しておきましょう。
薬剤師の人数は年々増加している
令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況によると、令和4年12月31日現在、届出をしている薬剤師数は全国に323,690人います。男性が124,183人、女性199,507人と、比率は4:6で女性のほうが多いのが特徴です。
令和2(2022)年に行われた前回の調査では、薬剤師数は321,982人でした。2年で1,708人増えたことがわかります。なお、男女比に大きな差はありません。
職場別にみてみると、令和4(2022)年、薬局で働くは190,735人。全体の58.9%を占めており、前回の調査から0.9%増加しています。次に多いのが、病院やクリニック等の医療施設で働いている薬剤師で62,463 人、全体の19.3%を占めます。
薬剤師全体を見てみると、薬局で働く薬剤師の増加が顕著です。10年前の平成24年(2012年)の調査では、280,052人の薬剤師のうち、薬局で働いていたのは153,012人、全体の54.6%でした。10年後には190,735人、全体の58.9%まで増えていることから、いかに薬局で働く人が増えているかがわかります。これには調剤薬局併設のドラッグストアが増えていることも関係しています。
幅広い年齢が活躍中
働いている薬剤師の年齢別のデータは下記の通りです。この表からわかるように、薬剤師資格を取りたての20代から70歳以上まで、薬剤師は年齢に関係なく働けます。正社員の場合、定年の延長や再雇用制度を導入する調剤薬局・ドラッグストア・病院が増えており、長く働き続けられる環境が整い始めています。
薬剤師数(人) | 割合 | |
20代 | 40,018 | 12.36% |
30代 | 82,083 | 25.36% |
40代 | 73,232 | 22.62% |
50代 | 64,765 | 20.01% |
60代 | 44,598 | 13.78% |
70歳以上 | 18,994 | 5.87% |
全体 | 323,690 | 100.00% |
年代別の収入―50代まで年収は上昇傾向
次に年代別の収入を見てみましょう。令和6年賃金構造基本統計調査によると、所定の労働時間・日数を働く人の年代別収入は下記のとおりです。対象者は主にフルタイム勤務をする正社員です。
男女合計 | 男性 | 女性 | |
20~24歳 | 400.0万円 | 413.8万円 | 383.6万円 |
25~29歳 | 501.0万円 | 511.9万円 | 494.8万円 |
30~34歳 | 564.4万円 | 606.9万円 | 540.1万円 |
35~39歳 | 614.3万円 | 671.9万円 | 543.1万円 |
40~44歳 | 646.2万円 | 727.4万円 | 573.8万円 |
45~49歳 | 667.3万円 | 734.4万円 | 603.7万円 |
50~54歳 | 744.7万円 | 804.2万円 | 686.8万円 |
55~59歳 | 709.3万円 | 764.4万円 | 667.7万円 |
60~64歳 | 685.2万円 | 729.4万円 | 604.5万円 |
60~69歳 | 559.4万円 | 521.9万円 | 592.0万円 |
70歳~ | 466.0万円 | 473.1万円 | 438.2万円 |
2006年度から薬学部が6年制になったため、薬剤師として働き始めるのは24歳以降。20~24歳の年収400万円は、新卒1年目の年収です。年を重ねるごとに収入が増えていることから、多くの職場で年次昇給があることがわかります。この集計には管理職の年収も含まれています。
経験を積んで管理薬剤師や大手調剤薬局・ドラッグストアで複数の店舗を管理するエリアマネージャーになれば、収入もアップします。男性よりも女性の年収が低いのは、育児・介護等で短時間勤務に変更する、一旦離職した後、再就職する人が多いことが影響しています。
男女ともに50~54歳で年収のピークを迎えたあとは、少しずつ年収は減少していきます。60歳以上になると再雇用に切り替わる人が多く、雇用形態も正社員から契約社員、パートなどに変わることが一般的です。また、体力の負担を考え、フルタイム勤務を辞める人も多いため、年収は減少傾向です。
地域によって薬剤師の充足度は異なる
令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況によると、全国では薬局・医療施設に従事する人口 10 万対薬剤師数は 202.6人。前回調査では198.6人であったため、 4.0人増加していることがわかります。ただ、地域別にみると充足度は異なります。全国平均である202.6 人を上回っているのは、東京、神奈川、大阪、兵庫、福岡といった大都市圏が中心です。地方では薬剤師不足が深刻です。
年齢別の難易度
以上のような概要を踏まえ、年代別の難易度について考えてみましょう。
20代―ポテンシャルを評価され、最も転職しやすい年代
経験が少ない20代は、転職であってもポテンシャルを重視した採用が行われます。新卒3年目ぐらいまでは第二新卒として転職もでき、求人も多めです。中途採用では経験を重視される製薬会社、病院への転職も、20代なら未経験でも挑戦できます。
ただ、売り手市場だからといって深く考えずに転職先を決めた場合、働き始めてから後悔したり、転職を繰り返したりするリスクがあります。将来のキャリアの軸をしっかりと考えてから転職先を選びましょう。
30代―前半はポテンシャルが評価されるも、後半は経験が重視される
30代での転職は、その後のキャリア、収入を大きく変えるチャンスです。30代前半までは、20代同様、ポテンシャル重視の採用が行われます。調剤薬局から病院への転職など、異業態への転職を考えているなら、30代前半までに動き出すことをおすすめします。
30代後半は薬剤師として約10年の経験があることから、転職ではスキルや経験が重視されます。同業態への転職なら、年収や待遇アップも期待できます。たとえば、管理薬剤師をめざすためにポストが空いている薬局に転職後、管理薬剤師になれれば収入は大幅にアップするでしょう。
異業態への転職も可能ですが、すぐに活躍できるような経験やスキルがないと厳しいといえます。自分の強みがわからない、どの経験やスキルをアピールしたらわからない場合は、転職支援サービスを利用するのがおすすめです。なお調剤経験がなくても、ドラッグストア、調剤薬局への転職は可能です。調剤への不安があるなら、未経験可の求人を選びましょう。
40代―スキルと経験を武器に、待遇アップを狙う
40代以降の転職では、未経験の業態への転職は難しくなります。これまでの経験と身につけたスキルを武器に、待遇アップをめざしましょう。求められる人材像と一致すれば、高年収や高待遇も期待できます。
調剤経験があるなら、調剤薬局やドラッグストアで重宝されます。管理職、責任者、リーダーといったマネジメント業務の経験があるなら、管理職としての転職も可能です。OTC販売のみのドラッグストアから調剤薬局への転職を検討する場合、調剤未経験可の求人を選びましょう。不安がある場合は、派遣で経験を積むのもおすすめです。
50代―定年後を視野に入れた転職活動がおすすめ
40代の転職以上に、スキルや経験が求められるのが50代の転職です。定年までの期間が短いため、正社員採用は難しくなります。ただ、管理職経験が豊富ならば、管理職としての転職が可能です。
また、薬剤師不足が顕著な職場なら、これまでのスキルや経験が高く評価されるため転職しやすいでしょう。雇用形態はパートや派遣が多くなるうえ、忙しい職場の可能性もありますが、即戦力として高く評価されるのは嬉しいですね。
50代の転職で視野に入れておきたいのが定年後です。薬剤師は70歳以上でも働けます。定年が延長されている職場なら、同じ職場で長く働けます。再雇用がある職場なら、再雇用後の雇用形態は何なのか、どのくらいの年収ダウンになるのか、確認しておきましょう。働き始めてから再雇用の条件がイメージと異なっていた、定年の年齢を知らなかった場合、再度50代から転職するのはかなり難しいといえます。
個人経営の調剤薬局や小規模なドラッグストア、個人経営の医院などは年齢制限がないことも多く、実力次第で長く働けます。
60代以上―体力と相談しながら、パートやアルバイトで働く
再雇用制度を使えば60代以上でも病院や製薬会社で働けます。しかし、60代で病院や製薬会社に転職するのは厳しいでしょう。転職を考えるなら、正社員ではなくパートやアルバイト、病院ではなく調剤薬局やドラッグストアの求人を探しましょう。
業態別の難易度
薬剤師は調剤薬局、ドラッグストア、病院などで働きますが、業態によって転職難易度も異なります。
・調剤薬局
年齢を問わず、転職しやすいのが調剤薬局です。地方では人手不足に悩む薬局も多く、年齢はそれほど重視されません。中小や個人経営の薬局なら、年齢よりも即戦力が重視されます。欠員補充の際に求人がでるため、希望の職場の求人があるとは限りません。こまめに求人をチェックしましょう。
一方、大手調剤薬局チェーンは新卒や若手薬剤師を積極的に採用しているため、年齢を重ねると正社員の転職は難しくなります。40代以上で大手をめざすなら、かかりつけ薬剤師や管理薬剤師の経験をアピールしましょう。なお、パート・アルバイトは求人が多いため、年齢を問わず比較的簡単に転職できます。
・ドラッグストア
調剤薬局同様、年齢に関係なく転職しやすいのがドラッグストアです。薬剤師がいなければ第一類医薬品を販売できません。調剤併設ドラッグストアの増加の影響も加わり、ドラッグストアでは年齢を問わず薬剤師を採用しています。
ドラッグストアでは調剤業務だけでなく、OTC医薬品、サプリメント、健康食品の販売、健康相談といった仕事も行います。職場によっては、レジ打ち、品出しといった小売業務をすることもあります。調剤経験がない場合は、OTC専門ドラッグストアを選びましょう。
注意しておきたいのは勤務時間です。ドラッグストアは土日や夜間も営業している店舗が多いため、シフト制が導入されているケースが多いでしょう。希望は聞いてもらえますが、土日や夜間にシフトが入ることがあります。人手不足が深刻な場合、正社員は残業も増えがちです。体力に自信がある方、調剤・服薬指導以外にも患者様・お客様の健康に寄り添いたい、小売業全般の知識やスキルを手に入れたい方におすすめです。
・病院
若手薬剤師が採用されやすく、年齢を重ねてからの転職は困難です。特に、大学病院、総合病院、急性期病院は若手からの人気も高いため、転職を考えるなら慢性期病院や中小病院がおすすめです。抗がん剤を含む注射剤の調剤、手術前後の薬剤投与管理など業務の幅が広く、多彩な経験を積めます。
・製薬会社などの企業
新卒採用が中心で、中途採用は少ないため転職は難しいといえます。中途採用の場合も企業で働いた経験があることが前提となっています。製薬会社など企業への転職をめざすなら、20代や第二新卒での転職がおすすめです。
転職を成功させるための2つのポイント
年齢を問わず転職はできますが、年齢を重ねるにつれ転職の難易度が上がります。転職を成功させたいなら、次の2点を意識してみてください。
・自分の強みを把握する
ポテンシャル採用、経験重視の採用、どちらであっても自分の強みを把握し、アピールすることが大切です。特定の科目の経験が豊富、患者様とのコミュニケーションが得意など、自分の強みを明確にし、それを高く評価してくれる職場を選べば働きやすい職場に出会えるでしょう。
・転職支援サービスを利用する
自分一人で求人を探すのが大変と思ったら、転職支援サービスを活用しましょう。経験豊富なアドバイザーが、あなたの強み探しから希望条件にあった求人選び、職務経歴書の書き方など、丁寧にサポートしてくれます。転職支援サービスを選ぶ際は、自分が希望する業態や雇用形態の求人を数多く扱っている、実績がある、サポートが充実しているサービスを選びましょう。
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