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薬剤師の仕事・キャリア
2025.09.12
増え続ける薬剤師の就職・転職は厳しくなる?「これから活躍できる薬剤師の条件」

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薬学部の6年制への移行に伴う大学の定員増加や新設が実施されてから、20年が経とうとしています。薬剤師の数が増えていると聞くようになってからも、ずいぶん月日が経ちましたが、現在の状況はどうなっているのでしょうか。薬剤師の現状を確認するとともに、これから活躍できる薬剤師の人物像を紹介します。
目次
薬剤師の現状はどうなっているの?
まずは現在の薬剤師を取り巻く環境について見てみましょう。
・薬剤師は増え続けている?
令和4(2022)年に発表された厚生労働省による「医師・歯科医師・薬剤師統計」によると、全国の届出薬剤師数は323,690人です。令和2(2020)年の前回調査と比べると1,708人、約0.5%増加しています。また、人口10 万対薬剤師数は259.1 人となり、前回に比べ3.9 人増加しています。過去の調査から振り返っても、薬剤師は毎年確実に増加し続けています。そのため、将来的には薬剤師の供給が需要を上回るとも予想されています。
一方、薬局や医療施設に従事する人口 10 万対薬剤師数の全国平均は 202.6人で、前回の198.6人に比べ 4.0人増加しています。兵庫県236.6人、東京都235.7人など、大都市圏では平均を大きく上回っているのに比べ、沖縄県149.4人、福井県163.6人、青森県167.2人など地方での薬剤師不足は変化がなく、地域格差改善の兆しは感じられません。
また、都道府県のレベルでは薬剤師数が充実しているように見えるエリアであっても、都道府県内の地域格差は大きく、立地条件やエリアによって状況は違っているのが現状です。
・コロナ禍以降の変化は?
コロナ禍の受診控えによる処方箋枚数の減少により、薬剤師の求人数が一気に減少したといわれていますが、この影響はどうなっているのか確認してみましょう。
日本薬剤師会が発表している保険調剤の動向「処方箋受け取り状況の推計」によると、令和元年度の処方箋受け取り数は約8.1億枚でしたが、令和2年度には約7.3億枚へと減少しました。それ以降も7億枚台が続いていましたが、令和5年には8.56億枚、令和6年には8.64億枚と処方箋数は順調に増えています。
・AI活用などのデジタル化による影響はある?
AIに取って代わられる仕事が世界的に話題になっていますが、薬剤師の仕事にもAIの影響がありそうです。すでに電子処方箋の導入により、処方データの入力などの作業が必要無くなった薬局もあります。
さらに、服用のタイミングが同じ複数の薬剤を1つの袋にまとめる一包化機器をはじめとする「調剤ロボット」、画像認識で薬剤を識別して取り違いを防止する「調剤監査システム」、AIが最適発注や在庫切れ防止を支援する「在庫管理の自動化」などが導入されることで、単純作業が大幅に減少します。患者様のデータをAIがチェックして、副作用や飲み合わせについてのアラートを表示する機能も開発されています。
また、薬剤師が少ない地方や薬局が近くにないような環境であっても、オンライン服薬指導での対応が可能になりました。処方後も薬局が提供するアプリを使用することで、服薬状況の確認が簡単になり、自動的にフォローができる仕組みを利用できます。さらに、AIを使用することで外国人患者様への対応が誰でもできるようになりつつあります。
このようなデジタル化による業務の効率化により、薬剤師の需要が減少すると考えられています。
・薬剤師の求人数は?
以前は薬剤師の資格さえとれば一生安泰といわれていましたが、すでに薬剤師は売り手市場ではなくなりつつあります。長らく、全職種平均の有効求人倍率に比べてかなり高い状態が続いていましたが、コロナ禍では薬剤師の求人が激減していました。今は求人数が戻ってきたとはいえ、以前のような売り手市場に戻ることはないと予想されています。
厚生労働省の推計によると、現在、需要に対する薬剤師の数は均衡した状態ですが、今後は薬剤師が飽和状態になるといわれています。
これから必要とされる薬剤師とは?
このように薬剤師を取り巻く環境は大きく変わってきており、薬剤師の資格さえ持っていれば安心できる時代は終わったといってもいいかもしれません。このような状況であっても、必要とされ、活躍できる薬剤師はいます。これからも薬剤師として活躍していくためには、新しい時代に必要とされる薬剤師がどのような人なのか、知っておかなければいけません。では、何が必要なのかを具体的に見ていきましょう。
・チーム医療の一員として医者や看護師、管理栄養士などと連携できる人
高齢者が人生の最期まで安心して暮らせるように、医療・介護・生活支援を地域全体で提供する「地域包括ケアシステム」が推進されており、薬剤師もこの一端を担います。さらに、日本の高齢者人口が増加しているため、厚生労働省では在宅医療を推し進めています。在宅医療は医師、看護師、介護職、ケアマネジャー、理学療法士など、さまざまな分野の専門家によって成り立つチーム医療です。
薬剤師の基本は調剤業務ですが、ただ調剤するだけではチーム医療の一員とはいえないでしょう。カンファレンスやラウンドに参加して処方の提案をしたり、ポリファーマシー対策をしたり、副作用のモニタリングをしたり、薬学視点での活躍が期待されます。立場が違う専門職のなかで、責任感を持ち、臆することなく提案や確認をし、患者様を第一に協力、連携して業務にあたれるスキルが必要です。
在宅医療の場合、薬を処方するために定期的に患者様の自宅を訪問します。プライベートな場に踏み込むことになるので、患者様一人ひとり、さらに家族それぞれにあわせたコミュニケーションがとれるとよいでしょう。また、介護職や理学療法士と情報交換をしながら、服用しやすい形状の薬へ変更したり、服薬の練習をしたりすることもあります。患者様が高齢のケースでは、飲み忘れを防ぐためにお薬カレンダーを導入して服薬管理をするなど細かい配慮が必要です。
また、チーム医療では薬物治療の「アドヒアランス向上」を重視しているため、患者様に自分の治療を理解・納得して積極的に取り組んでもらうためにも、薬剤師の役割は大きいといえるでしょう。チームの一員として連携し、業務が行える薬剤師なら今後ますます必要とされる存在になります。
・かかりつけ薬剤師など服薬指導やアドバイスができる人
厚生労働省が「患者のための薬局ビジョン」を発表以降、かかりつけ薬剤師が推進されています。それに伴い、「かかりつけ薬剤師指導料」「かかりつけ薬剤師包括管理料」が診療報酬に新設されるなど、薬局勤務の薬剤師は「かかりつけ薬剤師」であることを期待されています。
かかりつけ薬剤師は、患者様一人ひとりの服薬管理や薬歴の一元管理、ポリファーマシーのチェック、生活習慣へのアドバイスなどを継続的に行います。処方された薬剤だけではなく、市販薬やサプリメントとの飲み合わせを確認したり、薬に対する疑問や不安、健康や介護など幅広い相談に対応したりします。地域の人たちと深いつながりを持ち、患者様の日常的な相談役という役割を期待されるため、患者様に寄り添いサポートできる幅広い知識や経験があるとよいでしょう。
「知識を噛み砕いてわかりやすく説明できる」「患者様の理解度によって説明方法を変えられる」「表情を汲み取って臨機応変に対応できる」など、高いコミュニケーション力があると需要がさらに高まります。
・認定薬剤師・専門薬剤師など専門性がある人
薬剤師として働いていくうえで、日々の学びは欠かせません。現在の医療は、がん、感染症、糖尿病、精神疾患など、治療が高度かつ複雑になり、薬の種類も増加しています。さらに患者様の高齢化により、複数の病気を抱えている人が増えています。
そのため、薬物療法がどんどん高度で複雑化しており、薬剤師にもより専門的な知識に精通していることが求められています。薬剤師が専門性を証明できるのが、「認定薬剤師」や「専門薬剤師」といった資格です。
「認定薬剤師」とは、講習を受講し単位を取得することで、特定の分野や業務に関する専門知識、技能を習得したことを公的・民間の学会や団体から認定された薬剤師のことです。
「専門薬剤師」とは、高度で専門的な知識や技能を持ち、臨床現場での実務経験を通じて特定分野の医療に深く関わる薬剤師のことで、認定薬剤師よりもさらに高い専門性が必要です。代表的なものに、がん専門薬剤師、感染制御専門薬剤師、精神科専門薬剤師、緩和薬物療法認定薬剤師などがあります。
資格取得のために学ぶ知識はもちろん大切ですが、その知識を活かした実践と経験による応用力があるとさらに評価されるでしょう。資格取得後も専門分野の学会や研究会に定期的に参加したり、発表を行ったりして、知識のブラッシュアップを欠かさないことが大切です。これらの資格を取得すると、チーム医療や地域包括ケアの場でも重要な役割を担えるでしょう。
2021年に施行された改正薬機法により、薬局の機能を明確化するための認定制度が始まりました。医療機関、介護事業者、行政などと連携し、地域全体で患者様を支える薬局は「地域連携薬局」、がん、難病、HIVなど専門性の高い薬学管理が必要な患者様を支える薬局は「専門医療機関連携薬局」に認定されます。これらの薬局には、認定薬剤師や専門薬剤師の配置が望まれているため、資格があることで仕事の選択肢が広がります。
・調剤や在宅医療などの経験が豊富な人
調剤や在宅医療の現場で豊富な経験がある薬剤師は高く評価されます。専門知識を身につけているだけでなく、経験によって身につけたスキルの高さを期待されているからです。具体的には、実践を重ねたことにより多様な処方や相互作用、副作用への対応経験があり判断の精度が高いこと、医師や看護師などにどう伝えれば治療に役立つかを理解していること、患者への説明力が高いことなどです。
調剤経験豊富な薬剤師であれば、仕事内容を一から教わるような研修がない薬局に転職しても、職場のルールなどを確認すればスムーズに業務をこなせるでしょう。経験を活かして、新人や若手に対して指導や教育ができるとさらに評価されます。
近年の高齢化に伴い在宅で医療や緩和ケアを受ける患者様が増加傾向にあるため、在宅医療の経験も高く評価されます。在宅医療では薬局に足を運んでくる患者様への対応よりもさらに広範囲の知識が求められます。患者様の自宅に行くほかに、施設や高齢者住宅を訪問するなどさまざまなスタイルがあります。この先も需要は増えていくので、経験を積んでおくと必要とされる薬剤師として働き続けることができるでしょう。
・共通するポイント
これからも薬剤師として活躍していくためにはさまざまな知識や経験が必須となるでしょう。どんな薬剤師にも求められるのは、コミュニケーション力です。患者様、患者様の家族、医療関係のチームメンバーなど、多くの人とコミュニケーションをとりながら円滑に仕事を進められる力が必要です。
また、このような対人業務を重視する方向性に変わった要因のひとつとして、デジタル化による業務の効率化があります。デジタル機器などの新しい仕組みを積極的に受け入れ使いこなす姿勢も大切です。
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これからも薬剤師としてスキルアップ、キャリアアップしながら活躍していきたいと思っていても、将来に不安を感じることはあるでしょう。今の職場のままでは長く活躍していくのは厳しいかもしれないと思った人もいるかもしれません。
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