
薬剤師さんとお話ししていると、
「漢方の取り扱いがある薬局で働きたい」
という声を聞くことがしばしばあります。
漢方を取り扱う薬局では、薬剤師さんのなじみのある
調剤薬局やドラッグストアと比較すると、
扱う薬や業務内容、身につくスキルなども全く異なります。
このコラムでは、漢方の種類にはどのようなものがあるのか、
知識を身につけるにはどうしたら良いのか、
薬剤師さんが知識を活かして働くには
どのような方法があるのかなどをご紹介します。
■そもそも漢方とは・・・
薬剤師のあなたならご存じの部分も多いと思いますが、
まず最初に、漢方とは何かを簡単に説明します。
漢方は東洋医学の一種です。
この考え方はもともと中国で生まれ
5~6世紀ごろに日本に持ち込まれました。
そこから日本の気候や風土、日本人の体質に合わせて
独自の発展を遂げていきました。
漢方という呼び方が定着したのは
江戸時代後期ごろと言われています。
同時期に日本に持ち込まれた
オランダの医学である「蘭方」と区別するために
この名前が付けられました。
原料になるのは薬草の根や葉、花、
動植物の分泌物や抽出物を加工した
生薬と呼ばれるもの。
生薬には数多くの種類があり、
それぞれ効能や効果が異なります。
この生薬を複数種類ブレンドすると漢方になります。
◆漢方の種類
漢方には、刻み漢方(刻み生薬)と既製品(顆粒)があります。
刻み生薬とは、原材料である
生薬を刻んだものを指します。
お茶のようにお湯で煎じて飲む必要があり
手間がかかってしまうため、
刻み生薬はマイナーになってきています。
刻み生薬を加工し、有効成分だけを取り出して顆粒にしたものが
顆粒タイプの漢方です。
漢方と聞いたときにパッケージに入った
顆粒タイプのものを想像する方も多いと思います。
粉薬のように水や白湯で簡単に服用できるので、
最近は顆粒タイプのものが一般的です。
◆東洋医学と西洋医学
東洋医学の一種である漢方は、
西洋医学と治療の考え方が少し異なります。
西洋医学では、身体にあわられる
病気の「症状」を直すことを目的に
治療方法や処方が決まります。
対して、東洋医学では症状を治すのではなく、
身体の持っている本来の力や治癒力を高めることを
目的としています。
たとえば頭痛で悩んでいるときに、
頭痛を治すことに着目するのが西洋医学の考え方、
頭痛が起こらないような体づくりや
体質改善をするのが東洋医学
というようなイメージです。
2001年には、医学・薬学のコアカリキュラムに
「和漢方を概説できる」という項目が追加されました。
さらに最近では、
副作用が西洋医学で扱う薬品よりも少ないことで
注目を集めています。
■漢方を勉強したいと思ったら・・・
薬に対する考え方や必要な知識も
調剤薬局やドラッグストアで必要なものとは
全く違います。
「漢方薬局に転職したい」
「これから薬剤師としてのキャリアを考えたときに
知識をつけておきたい」
「独立して漢方の扱いのある薬局を開局したい」
このように思っている薬剤師さんは、
「漢方薬・生薬認定薬剤師」の資格を取得することを
おすすめします。
◆漢方薬・生薬認定薬剤師とは・・・
漢方薬・生薬認定薬剤師とは、
漢方の知識や調剤の技術において
一定レベル以上を持っていると認定された
薬剤師のことを指します。
患者さんや医師に対して、自信を持って情報提供が
できるようになることを目的にしています。
学会に参加する、講座を受講する、
日本薬剤師会や和漢医薬学会の主催する研修に参加する、
書籍で自己学習をするなどで決められた単位を取得し
試験に合格すると、晴れて認定となります。
一度取得すれば一生もの、というものではなく、
3年ごとに更新が必要です。
更新の際には、研修会の再受講が必要となります。
この資格を取得することで、
漢方薬局への転職を考えたときに可能性が広がったり
薬局選択の幅が広がったりします。
■漢方薬局で働く
漢方薬局では、主に一般用漢方を取り扱います。
一般用漢方とは、患者さんがドラッグストアなどで
自由に買うことのできるものです。
ちなみに、一般用漢方を購入するときは
OTC医薬品と同じ扱いになるため
保険適用外となります。
一般用のほかに医療用漢方というものも存在し、
こちらは医師の処方がないと受け取ることのできない薬です。
医療用漢方は医師から処方されるもので
患者さんが自由に購入できるものではないため、
保険適用価格で買うことができます。
◆漢方薬局で働く薬剤師さんの業務
漢方薬局で働く薬剤師さんの主な業務は
患者さんのカウンセリング(ヒアリング)と
処方薬の選定です。
患者さんの悩んでいる症状をしっかりとヒアリングし、
自らどの薬を処方するのかを判断します。
調剤薬局で働く方は
医師から出された処方せんに従って
医薬品の調剤・監査を行い、
患者さんに投薬をするというのが一般的ですし、
ドラッグストアで働く方は
店舗で買い物をしている方に
レジでOTC薬品の説明したり
健康維持のアドバイスをしたりするのが
一般的な業務の流れかと思います。
これらと比べると
漢方薬局で働く薬剤師さんは
自分の意見で処方する薬を決めることになるので
責任感の大きい仕事と言えます。
自分が下した判断で患者さんの体調が良くなったのを見て
嬉しくなったなど、責任感が大きい分
やりがいも大きい仕事です。
魅力的な点が多い科目ですが、
漢方薬局は調剤薬局に比べて
薬局数がかなり少ないこともあり
求人があまり出回りません。
■アプロのキャリアアドバイザーにご相談ください
もしあなたが
漢方の取り扱いのある薬局に興味があるなら、
ぜひ、アプロのキャリアアドバイザーにご相談ください。
求人サイトや求人誌に載っている公開求人はもちろん
表には出ない非公開求人も扱っています。
今すぐ転職したいという薬剤師さんでなくても、
「漢方薬局ってどんな求人があるの?」
「希望年収で働けるの?」
などの些細なご相談でも喜んでお受けします!