Last Updated on 2021年12月21日

薬剤師さんとお話ししていると、「漢方の取り扱いがある薬局で働きたい」という声を聞くことがしばしばあります。
漢方を取り扱う薬局では、薬剤師さんになじみのある調剤薬局やドラッグストアと比較すると、扱う薬や業務内容、身につくスキルなども全く異なります。
このコラムでは、漢方の種類にはどのようなものがあるのか、知識を身につけるにはどうしたら良いのか、薬剤師さんが知識を活かして働くにはどのような方法があるのか、などをご紹介します。
■そもそも漢方とは・・・
薬剤師のあなたならご存知の部分も多いと思いますが、まず最初に「漢方とは何か」を簡単に説明します。
漢方は東洋医学の一種です。
この考え方はもともと中国で生まれ、5~6世紀ごろに日本に持ち込まれました。
そこから日本の気候や風土、日本人の体質に合わせて独自の発展を遂げていきました。
漢方という呼び方が定着したのは江戸時代後期ごろと言われています。
同時期に日本に持ち込まれたオランダの医学である「蘭方」と区別するためにこの名前が付けられました。
原料になるのは薬草の根や葉、花、動植物の分泌物や抽出物を加工した生薬と呼ばれるもの。
生薬には数多くの種類があり、それぞれ効能や効果が異なります。
この生薬を複数種類ブレンドすると漢方になります。
漢方の種類
漢方には、刻み漢方(刻み生薬)と既製品(顆粒)があります。
刻み生薬とは、原材料である生薬を刻んだものを指します。
お茶のようにお湯で煎じて飲む必要があり手間がかかってしまうため、刻み生薬はマイナーになってきています。
刻み生薬を加工し、有効成分だけを取り出して顆粒にしたものが顆粒タイプの漢方です。
漢方と聞いたときに、パッケージに入った顆粒タイプのものを想像する方も多いと思います。
粉薬のように水や白湯で簡単に服用できるので、最近は顆粒タイプのものが一般的です。
東洋医学と西洋医学
東洋医学の一種である漢方は、西洋医学と治療の考え方が少し異なります。
西洋医学では、身体にあわられる病気の「症状」を直すことを目的に、治療方法や処方が決まります。
対して、東洋医学では症状を治すのではなく、身体の持っている本来の力や治癒力を高めることを目的としています。
たとえば頭痛で悩んでいるときに、
頭痛を治すことに着目するのが西洋医学の考え方、
頭痛が起こらないような体づくりや体質改善をするのが東洋医学、というようなイメージです。
2001年には、医学・薬学のコアカリキュラムに「和漢方を概説できる」という項目が追加されました。
さらに最近では、副作用が西洋医学で扱う薬品よりも少ないことで注目を集めています。
■漢方を勉強したいと思ったら・・・
薬に対する考え方や必要な知識も、調剤薬局やドラッグストアで必要なものとは全く違います。
「漢方薬局に転職したい」
「これから薬剤師としてのキャリアを考えたときに知識をつけておきたい」
「独立して漢方の扱いのある薬局を開局したい」
このように思っている薬剤師さんは、「漢方薬・生薬認定薬剤師」の資格を取得することをおすすめします。
合わせて読みたい:今薬剤師に必要な資格とは?
漢方薬・生薬認定薬剤師とは・・・
漢方薬・生薬認定薬剤師とは、漢方の知識や調剤の技術において一定レベル以上を持っていると認定された薬剤師のことを指します。
患者さんや医師に対して、自信を持って情報提供ができるようになることを目的にしています。
学会に参加する、講座を受講する、日本薬剤師会や和漢医薬学会の主催する研修に参加する、書籍で自己学習をする、などで決められた単位を取得し試験に合格すると、晴れて認定となります。
一度取得すれば一生もの、というものではなく、3年ごとに更新が必要です。更新の際には、研修会の再受講が必要となります。
この資格を取得することで、漢方薬局への転職を考えたときに可能性が広がったり薬局選択の幅が広がったりします。
■漢方薬局で働く
漢方薬局では、主に一般用漢方を取り扱います。
一般用漢方とは、患者さんがドラッグストアなどで自由に買うことのできるものです。
ちなみに、一般用漢方を購入するときはOTC医薬品と同じ扱いになるため保険適用外となります。
一般用のほかに医療用漢方というものも存在し、こちらは医師の処方がないと受け取ることのできない薬です。
医療用漢方は医師から処方されるもので患者さんが自由に購入できるものではないため、保険適用価格で買うことができます。
漢方薬局で働く薬剤師さんの業務
漢方薬局で働く薬剤師さんの主な業務は、患者さんのカウンセリング(ヒアリング)と処方薬の選定です。
患者さんの悩んでいる症状をしっかりとヒアリングし、自らどの薬を処方するのかを判断します。
調剤薬局で働く方は、医師から出された処方せんに従って医薬品の調剤・監査を行い、患者さんに投薬をするというのが一般的ですし、
ドラッグストアで働く方は、店舗で買い物をしている方にレジでOTC薬品の説明したり、健康維持のアドバイスをしたりするのが一般的な業務の流れかと思います。
これらと比べると、漢方薬局で働く薬剤師さんは自分の意見で処方する薬を決めることになるので、責任感の大きい仕事と言えます。
自分が下した判断で患者さんの体調が良くなったのを見て嬉しくなったなど、責任が大きい分やりがいも大きい仕事です。
魅力的な点が多い科目ですが、漢方薬局は調剤薬局に比べて薬局数がかなり少ないこともあり、求人があまり出回りません。
漢方薬局の求人に出会えたら、まずは気になる部分などを問い合わせてみることをおすすめします。
■アプロのキャリアアドバイザーにご相談ください
もしあなたが漢方の取り扱いのある薬局に興味があるなら、ぜひアプロのキャリアアドバイザーにご相談ください。
求人サイトや求人誌に載っている公開求人はもちろん、表には出ない非公開求人も扱っています。
今すぐ転職したいという薬剤師さんでなくても、
「漢方薬局ってどんな求人があるの?」
「希望年収で働けるの?」
などの些細なご相談でも喜んでお受けします!