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第十回 「波乱万丈! プロパー街道Z」
当時パソコンなどない時代で明治製菓の先輩は(ソフトの入る)事務用計算機を使って統計計算を行っていました。
私はそれを勉強し、先生の論文や学会発表の統計処理をよくお手伝いしました。

ポケットコンピューターが発売されると真っ先にそれを買って自分でソフトを組み込み、χ2乗検定や検定、相関係数など必要な計算を行えるようにしました。
先生方の前でその計算を披露しますと、以後先生から(計算のお手伝いで)呼び出しを頂くようになりました。

先生方の書かれた論文の
一助になれたことは今でも心の中で密かに喜びを感じています。

当時、学会抄録などは和文タイプで打って期限までに学会本部に送ることになっていました。
その仕事もよく依頼がありました。

先生方はお忙しい中、
論文に間違いのないように、ぎりぎり期限に間に合わせていました。
そのため私は専属の和文タイプ屋をみつけ、いつもその方に2時間から3時間で打って頂き、それを先生の待っている研究室に届け校正を頂きそして清書を作成していました。

31日までの消印有効のときなど、31日の18時頃に先生から原稿頂き、すぐにタイプ屋にそこで出来るのを待って戻って先生に校正してもらい再度タイプ屋に持って行き、そして本局の郵便局に23時頃投函する、そんなこともよくありました。

また学会でのスライド原稿などもある研究室では私が一手に引き受けていました。
それは元原稿が荒くとも同じタイプ屋で作って頂く事で同じパターンで出来、常に同じスタイルで発表できるからでした。

ある時、若い先生が別のメーカーにスライド原稿作成を依頼し、事前検討会で学会予行を行った所、上司の先生からすごいお叱りを受け、急遽、私に呼び出しがかかりすぐにスライド原稿作成を依頼された事もありました。

先生方にとって大学病院での仕事とは、患者さんを診察治療し社会復帰をサポートする事とともに、医療の最先端として基礎、臨床を含め学会発表や論文発表を行い、業績を積み上げることでもありました。

そんな中、参考文献集めは先生方にとっては大切な事でどのメーカーもそこに注力していました。

しかし、
私はどちらか言うと原稿やスライド作成を中心に取り組んでいました。
「他社のメーカーで出来る事は他社に任そう、他社に出来ない事を行う」大学担当としてそれが私の信念でした。

大学病院では、お忙しい先生は夜遅くや深夜になってやっと医局に戻ってこられる事も多々あり、
私のようなプロパーに頼みたいことがあるにも拘らず、時間が合わずに頼めないで困っている先生方もたくさん居られました。
また、そんな先生ほど患者さんを多く持って居られ薬を一番使われる先生でもありました。

夜討ち朝駆け、なんて言葉も流行った事もありましたが実際行っているプロパーは数えるほどでした。

私は常にドクターの立場、
視点に立って何が求められているかを考えることが他社との差別化になると考えて実行し、そして事実先生方からの支持を得る事ができました。

学会抄録、文献、スライド原稿作成などもけっこう費用が掛かる事で
メーカーが負担している事が多かったのですが、費用負担を受け持つことはどのメーカーでも出来ることでした。

私は逆に、
「他社に出来ないことをすることは、費用を乗り越えたことに価値が生まれるのだ」と考えました。

先生が何か困った時また、頼
みたい時に脳裏に浮かぶプロパーの数は8名が限度だと私のストーリーの中で勝手に決めていました。
8名の中でもまず3名が浮かび次に残りの5名、そのためにもまず先生にとって
最初の脳裏に浮かぶ3名になることが大切でした。

そのためにも困った事の解決、仕事のお手伝いが出来る、そして正しい薬のプロパガンダが出来る。
先生にとって最初に思い浮かぶプロパーになる、
それを私の信念としていました。
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